猫の「あごニキビ」「ずっとある口臭」大げさかな?と思っても 実は見逃せない体調不良のサイン【専門医に聞く】
猫は元気なふりが得意
とはいえ、病院に行くことがそう簡単ではない場合もあります。まず飼い主さんの仕事や学校など、時間的な問題。金銭的な問題。病院が遠いとか、交通手段の問題。そして、猫さんによっては病院が大の苦手でストレスを感じる場合など、さまざま。 もちろん命に関わるとわかっていたら、何をおいてもどうにかして連れていくとは思いますが、それ以前のわずかな変化などの場合、どうすべきか悩みますよね。 左の表は、病院へ連れていくタイミングを症状別に分けたものです。猫さんの年齢や病歴、体質、生育環境などによってちがってくるのでそれらをふまえ、あくまでも目安として参考にしてください。CMにもありますが猫というのは、なぜか元気なふりが得意です。常日頃から観察し、小さな異変を見逃さないようにしましょう。 そして「あのとき連れていけばよかった」と後悔しないためにも、変化や気になることがあったときに、すぐ動ける準備をしておいてほしいですね。 少なくとも、下記の深刻度★の状態で連れていったとしても「大げさだ」なんて思う獣医師はいないと思ってください。深刻度★★★★の場合は気づいたらすぐ、夜間救急でも連れていってほしい状態です。
〈猫の「異変」深刻度チェックリスト〉
【深刻度★★★★】今すぐ病院へ ●ぐったりしている ●誤飲誤食 ●嘔吐が止まらない、連続する ●24時間近く排尿していない ●開口呼吸 ●後ろ足が立たない ●変な声で鳴く(何かを訴えるような声で落ち着かない様子) ●てんかんのような発作 ●急なよだれ ●急ないびき ●耳や口の粘膜が黄色や白 ●舌が青白い ●体や耳が熱い ●顔が腫れている(急変) ● 高所からの落下 ※上記はあくまでも目安です。元気、食欲がない場合や複数の症状が見られる場合は、深刻度に関係なく早めの受診をしましょう。 【深刻度★★★】翌日には病院へ ●1日に3回ほど嘔吐 ●血便・血尿 ●体表にわかるくらいのできもの ●おなかを触ったときにしこり ●繰り返すよだれ ●耳を激しく搔く ●耳の腫れ ●爪が折れた(出血は止まっている) ●歩き方がおかしい ※上記はあくまでも目安です。元気、食欲がない場合や複数の症状が見られる場合は、深刻度に関係なく早めの受診をしましょう。 【深刻度★★】1~2日経っても改善しなければ病院へ ●食欲がない(いつもの半分以下) ●くしゃみ ●涙目・目やに ●あごニキビ ●一時的な発作やふるえ(症状が治っている) ●繰り返す嘔吐・下痢 ※上記はあくまでも目安です。元気、食欲がない場合や複数の症状が見られる場合は、深刻度に関係なく早めの受診をしましょう。 【深刻度★】3日以上改善しなければ病院へ ●大きさが変わらないイボ ●下痢 ●ずっとある口臭 ●食欲にムラがある ●足や手に大きなハゲ ●毛づくろいによる脱毛 ●耳の汚れ ●急に増えたフケ ●便秘 ※上記はあくまでも目安です。元気、食欲がない場合や複数の症状が見られる場合は、深刻度に関係なく早めの受診をしましょう。 宮下ひろこ 獣医師/動物病院専任カウンセラー。日本大学獣医学科卒業後、小動物臨床に従事。その後心理学やカウンセリングを学び、2011年よりペットロスなどのカウンセリングを行う「動物病院専任カウンセラー」として動物病院に勤務。現在は、獣医師はじめ動物病院スタッフのキャリアに関わるコーチングや心理カウンセリングも行っている。一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。一般社団法人日本グリーフ専門士協会認定グリーフ専門士。 イラスト・たまゑ 協力:辰巳出版 辰巳出版 Book Bang編集部 新潮社
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