「嫌い」の感情にふたをするほど閉塞感が増す...現代に必要な“上手な悪口”
嫌いなもの、嫌いな人との上手な向き合い方
生きていれば、嫌いなもの、嫌いな人があらわれるのは当たり前です。しかし、私たちはあまりに「嫌い」という感情を抑圧しすぎてしまったために、何が嫌いかわからなくなっている傾向があります。 私が教えている大学でも、学生に「好き、嫌い」を聞くと、嫌いなものをすぐに答えられない子が結構います。自分の「嫌い」がわからない子、言えない子は総じて、自分の将来についても、どうしたいのかよくわかっていないことが多いです。 これでは人生において達成感を味わえないどころか、人間関係でもひずみが生まれやすく、将来的な不幸を招く恐れもあります。後悔のない人生を送るためにも、自分の「嫌い」を知り、好き嫌いをはっきり言う習慣づけが大切です。 そして、もし嫌いなもの、嫌いな人が目の前にあらわれたときは、うまくかわしたり、距離を置いたりする必要があります。対処の仕方を間違えると、余計なトラブルを生みかねないからです。自分の「嫌い」を大事にしつつ、無駄にストレスをためこまないように、うまく対処していきましょう。 【嫌いなものの見つけ方】一度紙に書き出してみる 紙に自分の嫌いなものを、思いつくままに書き出してみてください。嫌いなものが少ない人は、食べ物を思い浮かべると書きやすいでしょう。数は多ければ多いほど、あとで行なう自己分析に役立ちます。書き終わったら、嫌いなものリストを眺めて、それらの共通点を探します。 また、それぞれについて嫌いな理由も考えてみましょう。漠然と嫌いなままならモヤモヤした気持ちが続きますが、なぜ嫌いなのか理由がわかれば、対処の仕方も見つけやすくなります。 【嫌いなもの、嫌いなことへの対処法】なるべく距離を置き、人に任せる 可能なら、嫌いなものから遠ざかりましょう。私はレモンが嫌いなので、自分からは近づきません。周りに「嫌い」を公言するのも一つの手です。「私は酸っぱいものが嫌いです」と言っておけば、無理にはすすめられません。 いっそ、「嫌い」を売り物にしておもしろい失敗談にすれば、場が盛り上がるでしょう。また、嫌いなことは人にできるだけ任せて、そのかわりに自分が得意なことを引き受けるといった工夫も必要です。 【嫌いな人とのつき合い方】ゲーム感覚で、相手をうまく利用する 嫌いな人には近づかない、関わりをもたないのが一番ですが、難しいときは、その人づきあいをゲームに変えてしまいましょう。「今日は3回嫌なことを言われた」などと記録して、その人を分析すると、対処法が見えてくることがあります。 仕事関係の人なら、相手の上手な利用の仕方を考えましょう。私はかつて職場で嫌いな同僚を上手におだてて一緒に仕事をし、成果を上げたことがあります。最後まで仲良くはなれませんでしたが、その人の良い部分は見えてきました。 【悪口の上手な言い方】「たしかに~、しかし~」で伝える たとえば上司の悪口を言うときは、共感を得ることが大切です。「あの人はすぐムチャぶりしますよね」など、みんなに共通するエピソードを取り上げるといいでしょう。おもしろく話すのも効果的です。 また、一方的な悪口と思われないように、「たしかに~、しかし~」という構文を使います。「たしかに良いところはあるかもしれません。でも私は~なところが嫌いです」と言えば、バランスが取れた言い方になります。悪口を言うときは、周りに無理に同調を求めないことも大切です。