阪田マリン「昭和99年」を生きるZ世代のファッション
ー昭和テイストのファッションを始められてから、周囲の反応はいかがでしたか? おばさまから好評です(笑)。「あら、きれいな色!」と声をかけられることが多くて、当時着ていた服を思い出して、話しかけてくれるのかもしれません。 家族からは……イマイチなんですよね。私があまりにも昭和の服を買いまくるので「衣装部屋」になってしまった部屋が自宅にあるんですが、「あの部屋からは強い念を感じる、着ていた人の怨念や」と言われます。 一度その部屋で寝てみたら、生まれてはじめて金縛りにあいました。なんだか知らない人の脚が天井からぶら下がっているのが見えた気がします。それ以来、衣装部屋では寝ていません……。
「昭和」と「ネオ昭和」
ー阪田さんが発信する「ネオ昭和」についてあらためて教えてください。 「ネオ昭和」は、昭和のファッションといまのアイテムをミックスするコーディネートです。あえてコスプレのように当時のアイテムで固めるよりも、足元だけエアフォース1を履いたり、いま流行りのバルーンスカートを合わせたり。 私は、大好きな純喫茶や銭湯などの昭和文化を残したいんです。そのためには、私と同じ世代の人が昭和を楽しむようになることが一番だと思います。だから私たちにも親しみやすい昭和のイメージをつくりたいと考えて「ネオ昭和」と名づけました。実際に「ネオ昭和」を始めてから、フォロワーの年齢層が下がっています。 昭和テイストの魅力をSNSで発信していると「この部分が当時と違うよ」「もっと昭和を勉強しないと」という反応をいただくことがあります。その通りではあるんですけど、そんなに文脈や背景って大事なのかな、と思う部分も正直あるんです。
ーファッションはある意味「間違った着方」で進化してきたカルチャーでもありますね。 知識をつけていくことも「好きになる」ことの大事な要素だと思います。でも、そのせいで自分の思う楽しみ方ができなくなるなら、自分の気持ちを優先したほうがいい。 私は昭和が大好きですが、それは令和が嫌いというわけではありません。だから、令和の時代に自分の解釈で昭和を楽しむ「ネオ昭和」をやっているところもあります。