競合ひしめく「XRデバイス」に挑戦するパナの勝算、アップル、Metaが“目指さない”産業特化型で市場に参入
XR表示デバイスの普及にはさまざまなハードルがあるが、その中でも“手軽な装着性”と“長時間利用における疲れ軽減”は、最も大きなハードルだ。この点を乗り越えることで、用途の幅は狭くとも選んでもらえる製品を作っている。普及への道のりが険しいからこそ、“何にでも使える”ことを目指し王道を行こうとするAppleやMetaにはできない製品としたのだ。 ■“目指すのはレッツノートやタフブック” もちろん、シンプルに装着性や軽量性を目指した製品だけに、あらゆる用途に向いているわけではない。本機を使うためにはSteamVR方式のベースステーションという機材を2台用意し、コントローラーや強力なGPUを搭載するWindows PCも必要だ。
しかし業務用であれば、すでにそれらの機材が導入されている現場もあり、圧倒的な装着感と高い画質でリプレースを狙い、その上で超軽量や装着性の高さを生かした用途提案を行っていく。 コンシューマー向けはShiftallのオペレーションだが、こちらは“VRChatユーザー”専用とも言えるマーケティングを展開する。現状、コンシューマー向けVRアプリケーションでは、VRChatが同時接続数の大多数を占めていると分析している。
小塚氏は「将来的にはより汎用的なプラットフォームが伸びていくだろう。しかし、そうしたジャンルで勝負するつもりはない。例えばパナソニックの製品には、レッツノートやタフブックといったパソコンという成熟ジャンルの中でも、確実に顧客が選んでくれるブランドがある。われわれが目指しているのは、そうした製品だ」と話した。
本田 雅一 :ITジャーナリスト