今夏、欧州名門サッカーチームがこぞって来日するぞ!
多くの強豪クラブが来日することになった理由
数年前までは主戦場は中国で、夏場には欧州の強豪チームがこぞって中国に遠征していた。 中国は、サッカー好きと言われる習近平国家主席の肝煎りで国家レベルのサッカー振興策を打ち出し、巨額の資金を持っていた中国スーパーリーグの強豪は、欧州や南米の有名選手や監督と契約。一部の選手は中国国籍を取得して中国代表にも名を連ねた。 アジアのナンバーワンクラブを決めるチャンピオンズリーグでは、あの清算命令を受けた恒大集団をバックに持っていた「広州恒大」がJリーグクラブの前に立ちふさがり、同チームはアジアのタイトルを二度獲得した。 欧州クラブに出資する中国企業もあったし、中国は選手を売り込む対象だったから、巨大マーケットに食い込むために、欧州のクラブは競って中国に遠征した。 ところが、中国サッカーは代表チーム強化が進まないばかりか、腐敗が深刻化。協会幹部や代表監督が当局に拘束されるに至っている。さらに、バックについていた企業が不動産不況で経営破綻に陥ってしまった。恒大グループの破綻によって資金難に見舞われ、広州恒大は2022年には2部リーグに降格してしまった。 また、外国人選手たちも給料の未払いなどのトラブルに巻き込まれ、中国国籍を取得した選手も含めて大半が中国を離れていった。 中国のサッカー界は混乱を極めているのだ。 一方、日本のJリーグは着実に発展しており、J1リーグの観客動員も1試合平均2万人を超え、コロナ禍前の数字を上回るようになっている。日本代表は2大会連続でW杯で決勝トーナメントに進出し、多くの日本人選手が欧州サッカー界で活躍するようになった。欧州のクラブにとっては、日本は低価格で良質な選手の供給源でもあるのだ(日本人選手は真面目で、監督の指示に忠実なので使い勝手がいい)。 そこで、欧州サッカー界の目は再び日本に向き始めている。それが、昨年、今年と多くの強豪クラブが夏に来日することになった背景なのだ。
後藤 健生(サッカージャーナリスト)