2025年の金利はどう動く? 最新の「利上げ予測」と日銀の抱える“難題”を解説
最短シナリオは7月に0.75%に利上げ
ただ、大きな流れで言えば、12月会合での利上げが見送られたとは言え、政策金利が段階的に引き上げられていくのは既定路線と見られている。では、2025年の金利はいったいいつ、どこまで上がるのか――? 「政策金利の引き上げ時期をピンポイントで言い当てるのは難しいですが、年内の利上げは恐らく計2回、年末時点での政策金利は0.75%というのが、現時点での私の予想です」(塩澤氏) 気になる利上げのタイミングは? 「最短だと1月に0.5%に利上げ後、春闘の中小企業への波及効果が判明する7月に0.75%というタイミングが考えられます。そうすると年内の1.0%も見えてくるわけですが、年3回の利上げは、経済指標が相当順調に推移しないと難しいのではないでしょうか」(同) アナリストの中には、1月会合までに出揃う新たなデータは限定的で、日銀・植田和男総裁が昨年12月に述べた“もう1段階の見極め”は難しいのではないか、という見方もある。 「もし、1月会合で再び利上げを見送った場合、その次は3月会合になります。遅くともこの3月で0.5%に利上げされるのではないでしょうか。その後、秋か年末にかけて今年2回目の利上げがあり、0.75%になるというシナリオです」(同) ただ、アメリカ経済の動向次第では利上げが0.5%で止まる可能性もあるという。それほどまでに“トランプ暴走”がリスク視されている理由とは――?
今年は円安と株安が同時にくる怖れが…!?
「トランプ氏の掲げる関税政策は、日本経済にとって大きなマイナス要因になると見られているのです」(塩澤氏) 関税強化については、アメリカ国内への輸入品の調達コストが上がることで、物価が上昇し、再びFRB(米連邦準備理事会)が利上げに転じる可能性が指摘されている。日米金利差の拡大は円安を招くため、自動車メーカーなどには有利に働きそうだが――? 「2024年は円安と株高が連動していましたが、関税強化は輸出企業の業績にとって、円安メリット以上のダメージとなる恐れがあり、2025年は“円安”と“株安”が同時に起きるリスクがあります」(同) そうなると日銀はますます舵取りが難しくなってしまう。 「輸入コストを上昇させ、物価高を加速させる過度な円安は是正したいというのが日銀のスタンスです。ただ、昨年8月に起きた日銀利上げ直後の株価急落により、日銀は株価も気にしなければならない状況になりました」(同) 8月に起きた日経平均の“大暴落”は、日銀のゼロ金利解除の決定と同時に起きたため“日銀ショック”とも呼ばれる。記憶に新しいのは、暴落から間もない8月7日の講演で、日銀副総裁の内田真一氏がこう述べたことだ。 「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」 「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」 市場の動揺を抑えようと、慌てて火消しに回った格好だった。 「円安と株安が同時に起きた時、果たして日銀は利上げを続けることができるのでしょうか。市場関係者が大きな関心を寄せるポイントでもあります」(同)