日銀・黒田総裁会見6月15日(全文1) 7月の展望レポートに向け「物価」議論
持続可能な金融政策転換へ議論の時期では?
テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いします。緩和が長引いてきていまして、異次元の金融緩和というのを続けていることでの副作用の懸念というのも出てきています。それで、実際この先、2%の物価目標達成というのをなるべく早期に実現するとは言っていながらも、まだまだ時間がかかりそうな状況です。そんな中でもっと持続可能な金融政策にしていく必要があるという議論を行うようなタイミングに来ていると考えていらっしゃるでしょうか。まず1問、お願いします。 黒田:先ほど来申し上げているとおり、長期金利が低位で安定しており、貸し出し利鞘が縮小しているという下で、金融機関の収益力低下につながりうるということは承知しておりますので、そういった意味で低金利環境が長期化した場合のリスクというのにも十分注意していく必要があるというふうには考えております。ただ、先ほど来申し上げているとおり、現時点では充実した資本基盤もありますし、潤沢な流動性を有しておりまして、地域金融機関も含めてわが国の金融機関に何か問題が生じているというふうには考えておりません。 最近の、2017年度の決算を見ましても、大手行も、それから地域金融機関も相応の収益水準を確保しているわけであります。もっともその中には益出しとか、あるいは信用コストの減少による利益の貢献とか、そういうものもありますので、いわゆる業務純益の収益への貢献がだんだん縮んできていることは事実なんですけども、足元、十分な資本も、それから流動性も有していますし、決算状況も相応の水準だったということでありますので、今なんか直ちに金融政策について検討する必要があるというふうには思っておりません。ただ、長く持続する場合の影響というのは、この累積的な効果を持ち得ますので、一方で半年に1回の金融システムレポートなどでもかなり詳細に金融システムの状況を把握しておりますし、これは今後とも続けていくつもりでありますし、毎回の金融政策決定会合においても、金融システムへの影響などについても十分掘り下げた議論をしていくことになるだろうと思います。 いずれにいたしましても、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和というフレームワークは持続可能なものになっておりますので、それ自体として直ちに問題があるとは思いませんけれども、今申し上げた地域金融機関を含む金融機関への長期的な収益への影響というものは、今後とも十分注視していきたいというふうに思っております。