目標出荷量は60トン、大手ガス会社がサーモンを陸上養殖!電子機器メーカーはマスク、JR東日本は農業、太陽光発電会社はベーカリー...増加する企業の異業種参入
全国各地で取り組みが進む“異業種参入”。名古屋市内の居酒屋で先月より提供が始まったサーモンのメニュー。実はこのサーモンを養殖していたのは、水産業者ではなく、東海地方の人ならよく知る“あのガス会社”だったのです。 【動画】知多クールサーモン
大手ガス会社がサーモンを陸上養殖
名古屋市中村区にある『うまい魚が食べたくて名駅南店』。中央卸売市場から仕入れる新鮮な魚がウリのお店です。 このお店で先月末から提供されているのが、数量限定メニュー「知多クールサーモンとケールのシーザーサラダ」(850円)。野菜の上に乗せられた鮮やかなピンクのトラウトサーモンの薫製、その名も「知多クールサーモン」が特徴です。
『うまい魚が食べたくて名駅南店』の廣瀬友行料理長曰く、「臭みがなく、さっぱりとしたスモークの香りが引き立っている」という知多クールサーモン。子どもから大人まで好評を集める一方、その認知度はまだまだイマイチ。「知多クールサーモンとケールのシーザーサラダ」を注文した客に知多クールサーモンの名前について尋ねると、「申し訳ないですけど、初めて聞きましたね」という答えが。
その名の通り、愛知県知多市で養殖されている「知多クールサーモン」。実は育てているのは、水産業者ではなく、名古屋市に本社を置くガス会社『東邦ガス』なのです。
“冷えた海水”を養殖に活用!目標出荷量は60トン
『東邦ガス』がサーモンの養殖を始めたのは、5年前。きっかけは、ガスの製造過程で発生する冷たい海水を有効利用するためでした。
『東邦ガス』では、マイナス162度のLNG(液化天然ガス)を気化させるために、ガスが通る管に海水をかけます。この工程で、海水の温度は2度から4度低下。この“冷えた海水”をサーモンの養殖に活用しているのです。
サーモンの養殖が始まった経緯について、『東邦ガス』事業開発部の木村徳博さんは、「サーモンは、冷たい海域で生息する魚なので、冷たい海水を使って、養殖をするのにはサーモンが適している。そこに着目して、サーモン養殖に取り組むということを思いついた」と話します。