ひたちなか海浜鉄道「延伸計画」はどうなってる? 新型車両の導入についても吉田社長が明かす
■2021年に延伸が決定 常磐線の勝田駅から那珂湊駅を経由して、阿字ヶ浦駅までの全長14.3kmの路線を有するひたちなか海浜鉄道の湊線は2008年までは茨城交通が運行する路線だったが、赤字によって廃線する意向を打ち出したため、ひたちなか市が支援する形で第三セクター方式のひたちなか海浜鉄道に運行を移行した。 【写真を見る】どんな路線?ひたちなか海浜鉄道の「キハ205」と「キハ37100」、那珂湊駅や阿字ヶ浦駅。乗ったことある? その後は利用促進に成功し、茨城交通末期時代よりも営業成績は上がってきている。同社と市は、さらなる利用促進に効果があるとし、阿字ヶ浦駅から約3km延伸させ、国営ひたち海浜公園西口まで、鉄道を通す延伸計画を打ち出しており、2021年1月に国から工事の許可を得た。
【写真】どんな路線? ひたちなか海浜鉄道の「キハ205」と「キハ37100」、那珂湊駅と阿字ヶ浦駅 しかしながら、新型コロナ感染症の拡大によって鉄道利用が低迷し、延伸工事の建設用機材や材料など物資も高騰したため、着工のタイミングが難しくなった。2年連続で工事許可の申請を伸ばし、延伸計画を見直すことになったが、これは消極的になってしまったというわけではなく、途中区間に大手企業の工場進出が決定し、新たに通勤などで同鉄道を利用する見込みが発生したことや、地方交通活性化法の改正など、政府の地方交通に対する考え方が前向きになったというプラスの要因がある。しっかりと足元を固めて、確実に実現できるように計画を見直したのだ。
延伸計画は、工事を2段階に分けてひたち海浜公園の南口に新駅を整備して、1.4kmを先行開業する予定だ。国営ひたち海浜公園は年間約200万人の観光客が訪れ、春にはネモフィラなどが見ごろとなり、現在でも阿字ヶ浦駅から臨時バスを運行するなど、多くの人が訪れる観光地になっている。 沿線では新たな宅地開発も予定されており、この区間が開業すれば観光と通勤と両方の需要を取り込むことができ、湊線自体の需要と収益の向上につながると考えられる。