俳優・三浦浩一、同業の息子のデビュー時には“一切手助けしない”宣言。両親の名前を伏せても全国区に「あいつは自分の力で頑張っている」
泥臭い感じの映画をノリノリで
2024年11月1日(金)よりテアトル新宿、アップリンク吉祥寺他にて全国順次公開される映画『ぴっぱらん!!』に出演。この映画は、25年前にヤクザの組長だった父・百鬼剛(金守珍)が何者かに暗殺されて以来、離れ離れになっていた百鬼(なぎり)三兄弟が25年ぶりに集結。父の死の真相が明らかになっていく…という内容。三浦さんは、元ヤクザの国会議員・福沢正志役。 「元ヤクザの国会議員という設定はすごくおもしろいと思うんですよね。今だったらあり得ないじゃないですか(笑)。今のこのネット社会では絶対にあり得ないことだけど、改心してちゃんといい人になったのかと思ったら、実は…っていうね」 ――崔監督とは『いちばん逢いたいひと』(丈監督)でも共演されていますね。 「はい。勢いがあるというか、今、この人間関係が希薄な時代にものすごく泥臭い感じの映画で、僕はもうノリノリでやっていました。 若い頃は、カッコいい役とか、モテる役とか、なにかそういう役がいいなって思うじゃないですか。いい人の役がいいなって。でも途中からはもうそんなことじゃなくて、やりがいがあるというか、自分で演じていておもしろいなって思う役をやりたくなるんですよ。今回なんかはまさしくそういう役ですよね。 議員としての顔はとにかく善の塊みたいな顔でやって。でも、実は…という裏の顔はその真逆をやらせてもらって、おもしろかったですよね。表の顔と裏の顔が」 ――山口祥行さんとは『日本統一』シリーズでも共演されていますが、あのときには人が良すぎる社長役でしたね。 「そうですね。彼(山口祥行)とは『日本統一』の前に『ブレイブX(テン) 極道十勇士』(金澤克次監督)という映画でも一緒だったんです。『DA PAMP』のISSAくんが主演で、僕は彼の父親の役だったんですよ。そのときも僕はヤクザ役で、『日本統一』では真逆の善人役だったから、彼に『前と全然違いますよね』って言われましたよ(笑)。 でも、それが僕の役者としての醍醐味だったり、楽しみですよね。そう思ってもらうのがうれしい。いつも同じイメージじゃなくて、なにかやるたびに違う色が出せればいいなっていうのはあるんです。今回は、共演シーンはなかったけど、現場や撮影のあとの飲み会では一緒になっていろいろ話せました」 ――撮影で印象に残っていることは? 「過去のシーンは、すごく時間をかけて撮ったんです。当たり前のことですけど、午前2時とか3時とか、どんなに時間がかかっても、やっぱりいいものを作ろうという熱が僕らキャストにもあるし、スタッフさんにもありましたね。 音楽もすごく印象に残っていて。シーナ&ロケッツの奈良敏博さんがすごくセンスあるなあって。エンディングも軽快な気持ちにさせてくれました」 ――撮影はスムーズに行きました? 「そうですね。監督は僕なんかが迷っているときも、スパッと決めてやっていくタイプですね。たとえば、丹波組組長が刑務所から出てきて宴会になっているところに議員として入っていくシーンのときに、もともとはヤクザなんだからヤクザ風にして入って行ったんですけど、崔さんに『ここはそうじゃない顔で入ってきてください』って言われて。そういう感じで彼のなかではイメージがちゃんとできていて、スパッと的確に言ってくる。 よっぽど僕の考えと監督の考えが違うときは意見を戦わすんですけど、基本舞台は演出家のものだと思うし、映画は監督のものだと思っているから、僕はその色に染まるというか、監督の求めているものをやろうという風に思っているんですよね」 ――崔監督はトリプル主演の3兄弟の一人で出演もされていますね。 「そう。すごい人はやっぱパワーがあるなと思う。だって、切り替えなきゃいけないじゃないですか。自分が芝居をしているときも監督として全体を見なきゃいけないわけですからね。 僕はもともと映画がやりたくて役者になったんですけど、『これが僕の代表作』と言えるものがなかなかなくて。この作品が代表作になると思っています」