米小型株に立ちはだかる6000億ドルの債務の壁、割安でも投資家は敬遠
(ブルームバーグ): 米国の小型株のバリュエーションはここ数十年で最も割安になっているが、今後5年間で6000億ドル(約93兆4700億円)超の債務が返済期限を迎えるため、投資家を引きつけるには連邦準備制度から大きなリスクオンのシグナルが必要だ。
ブルームバーグがまとめたデータによると、ラッセル2000指数を構成する時価総額の比較的小さい企業は計8320億ドルの負債を抱えており、その75%にあたる6200億ドルについて2029年までに借り換える必要がある。これに対し、大型株から成るS&P500種株価指数を構成する企業は、29年までに返済期限が到来する債務は全体の50%前後だ。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのマルチアセット担当シニアストラテジスト、マリヤ・ベイトメーン氏は、「バリュエーションは魅力的だが、まだ買うつもりはない。小型株は景気減速の影響を受けやすく、資金調達コストが高く、利益率が圧迫される可能性が高いからだ」と述べた。
中小企業は特に、社債を発行できるほど規模が大きくないことが多いため、通常は借入金という形で、変動金利でかなりの負債を抱える傾向がある。つまり、連邦準備制度の利上げ直後に、金利負担がより高い水準にリセットされることが多い。一方、固定金利の社債を発行している大企業の借り入れコストに金利上昇が大きな影響を与えるのは、ずっと先になる。
さらに、中小企業の業績は通常、経済全体の動向に連動する。そのため、経済情勢が流動的で不確実性が市場のテーマとなっている現在、ウォール街のプロは、バリュエーションが割安に見えても、最もリスクの高い部類に入る小型株を買うことについて懐疑的だ。
ラッセル2000銘柄の株価売上高倍率(PSR)はS&P500銘柄に対し、20年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期の底を除けば、03年以来の低水準付近にある。だが市場関係者は、ラッセル2000のラリーを引き起こすには経済成長が大きく勢いづくことが必要だとしている。