米小型株に立ちはだかる6000億ドルの債務の壁、割安でも投資家は敬遠
チューリッヒ・インシュアランスのチーフマーケットストラテジスト、ガイ・ミラー氏は、「より規模の大きい優良企業が割高なのには理由がある。資金調達を巡る問題を抱えない傾向があり、金利政策に左右されにくい」と指摘した。
大型株に出遅れ
年内の米利下げ回数の予想が1月時点の6回から2回に減ったため、ラッセル2000の年初から上げ率は1.6%にとどまっている。S&P500種は同じ期間に9.5%上昇した。ただ、小型株はかなりの期間、大型株に出遅れている。23年初め以降のパフォーマンスで見ると、S&P500種はラッセル2000の2倍余りとなっている。
ブルームバーグが集計したデータによると、ラッセル2000はこの2年半、最高値を更新しておらず、これは世界金融危機以降で最長。一方、S&P500種は24年に22回も記録を更新している。
インフレが年初時点の予想よりも根強いため、小型株にとって現在の問題は金利と景気の方向性だ。
株式市場におけるポジショニングは、4月末に始まった相場上昇に対する投資家の確信の欠如を示している。投資家は、経済の不透明な時期により安全と考えられている「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク銘柄に回帰しており、ブルームバーグ・マグニフィセント・セブン・トータル・リターン指数は過去3週間で約9%上げている。これに対し、ネッド・デービス・リサーチのデータによると、ヘッジファンドが構築しているラッセル2000先物のネット・ショートポジションは過去最大級となっている。
業績も小型株の助けになっていない。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の数字によれば、第1四半期にS&P500種銘柄が4%増収となる方向であるのに対し、ラッセル2000銘柄は0.3%の増収にとどまる見込みだ。
原題:A $600 Billion Wall of Debt Looms Over Market’s Riskiest Stocks(抜粋)