国民皆保険のはずでは…がむしゃらに働いてきた月収45万円だった27歳元SE、病院での「全額実費払い」に愕然。「人生の中休み」への大きな後悔【CFPの助言】
日本は「国民皆保険」と呼ばれる制度があり、すべての国民が健康保険をはじめとした社会保険に加入することになっています。しかし、制度には落とし穴もあって……。今回はAさんの事例とともに、健康保険の仕組みの注意点について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
仕事のストレスから転職を検討
※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。 都内で働くAさんは、システムエンジニアとして働いています。一緒に住んでいる妻とは25歳のときに結婚しました。中堅のIT企業で、月収は45万円。プロジェクトの設計や実装、トラブル対応を担当していました。半年ほど前からチームの中心となって進行管理を担うことも増え、Aさんはその役割に誇りを持っていました。しかし、プロジェクトの締め切りが近づくと、連日遅くまで働く日々が続き、朝通勤のために電車に乗ると吐き気を催し途中下車したり、夜は眠れなくなったり、次第に体力も気力も限界に近づいていました。 このままシステムエンジニアとして働き続けるかどうか、自分自身に問いかけながら、Aさんは少しずつ転職を考え始めていたのでした。 人生の中休みを決断 そんなとき、学生時代からの友人であるBさんと久しぶりに会う機会がありました。Bさんは、数年前に地元で居酒屋を立ち上げ、いまでは常連客も増え、順調に経営を続けていると聞いていました。 Aさんが「最近、ちょっと仕事がしんどくてさ……」とぼやくと、BさんはAさんの疲れた顔を見て、「そんなに大変なのか?」と心配そうに声をかけてきました。それを聞いたBさんは少し考え込み、「それなら、うちで働かないか?」と提案が。 Aさんは驚きつつも、「え、居酒屋で? そんなこと急に言われても……」と戸惑いを隠せません。しかしBさんは続けて、「うちは1人でやってる店だから、最近忙しくなってきて、人手が増えると本当に助かるんだ。お前ならお客さんとも上手くやっていけると思うし、なにより、長年の友達と働くのって、ちょっと面白そうじゃないか?」と笑顔で誘ってくれました。その言葉に、Aさんの心は少しずつ動かされました。 Bさんの店は地元に根ざしたアットホームな居酒屋で、学生時代からの知り合いである彼と働くのは、人生の中休みのように肩の力を抜いて、楽しめるかもしれないと感じたのです。それからAさんは数ヵ月かけて妻を説得し、システムエンジニアを辞めてBさんの居酒屋で働くことにしたのでした。