【コラム】緊張の冬、韓国とフランスの民主主義が試される(1)
2024年12月3日のソウル、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が野党の「反国家的活動」を理由に戒厳令を宣言し、軍兵力を国会周辺に配置した。一部の議員との衝突までが発生し、韓国の民主主義は深刻な危機に直面した。しかし国民的な反発と国会出席議員の全会一致決議で戒厳令は6時間後に撤回された。これは市民社会と憲法制度の作動が民主主義を守ったことを見せると同時に、大統領の権限の過度な集中と政治的危機管理体系の根本的な脆弱性を表した。 2024年12月4日のパリ、政治的な大混乱が生じた。バルニエ首相が率いるフランス内閣が、国会で不信任案が通過したことで崩壊した。緊縮政策をめぐる左右極端勢力の反発が主な原因だった。6月の欧州議会選挙当時、議会を解散して政治的な賭けに出たマクロン大統領は「左右極端勢力が混乱を選択した」と批判しながら新首相を任命し、予定通りに任期を終えると明らかにしたが、政治的な孤立はさらに深まった。 ソウルとパリで生じた前例のない政治的危機は、東アジアと欧州というそれぞれ異なる大陸を越えて民主主義の本質的な脆弱性を表した。これら危機は異なる背景の中で発生したが、大統領中心体制という共通した構造的背景を共有していて、民主主義が直面した挑戦を象徴的に見せている。韓国とフランスの大統領制はそれぞれ強力なリーダーシップを保障するシステムで設計されたが、権力の集中がもたらす副作用も明らかだ。 韓国の場合、大統領に権限が過度に集中し、議会との協力が不足する時に政治的危機が訪れやすく、反対に大統領の権限が議会に比べて弱い場合にも政治的な膠着が発生する。フランスの二元的政府制は大統領制と議院内閣制の要素を共有するという長所があるが、この構造が葛藤を深める要因として作用したりもする。これら体制は強力なリーダーシップを保障するが、同時に権力の乱用と政治的膠着を招くリスクを常時内包している。 ◆奇妙に似ている韓国・フランス大統領 韓国とフランスの現代政治史をみると、両国は驚くほど似た政治的軌跡を共有してきた。これは単に現在の尹錫悦大統領とマクロン大統領の事例にとどまらない。繰り返される政治的失敗の両国の状況は時期的にも奇妙なほど似ている。 8年前の2016年12月、同じく両国に緊張の冬を知らせた。フランスのオランド大統領は相次ぐスキャンダルと経済的失敗で支持率が急落した。税金を回避したという疑惑と私生活問題が彼のリーダーシップを急激に弱め、不況の中でこれという突破口を提示できず、フランス国民の失望がピークに達した。2016年12月1日、オランド大統領は支持率が過去最低の4%まで落ちた状態で国民向け談話で再選不出馬を宣言し、政治舞台から自ら退場した。これはフランス政治史で現職大統領が慣習のようになっていた再選出馬を自ら放棄した最初の事例だった。 同じ時期、朴槿恵(パク・クネ)大統領は崔順実(チェ・スンシル)国政壟断事件で支持率が5%まで落ち、政治的没落を迎えた。「秘線」の存在と国政全般にわたる腐敗と不透明な意思決定過程は国民的な怒りを呼んだ。2016年12月9日、国会は圧倒的な票差で弾劾訴追案を可決し、2017年に憲法裁判所の弾劾審判で最終的に大統領職を剥奪した。朴槿恵大統領とオランド大統領の政治的没落は同じ時期に、国民的な信頼の喪失という共通した背景の中であった。 これに先立ち2007年、08年にそれぞれ執権したフランスのサルコジ大統領と韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は共に経済改革を主要公約にして登場した。サルコジ大統領は2007年の就任後、野心に満ちた経済改革を進めたが、大衆との意思疎通不足と腐敗問題で支持率が任期末に20%まで下落した。李明博大統領も企業寄りの政策と4大河川事業を推進して経済成長を強調したが、環境問題と不正問題で国民の反発を呼んだ。李大統領の支持率も任期末に20%台に落ち、フランス大統領と似た軌跡だった。