優木まおみ「自分はなんて無力なんだろう」2児の母になって「THE・芸能人してる私」から一気に強い喪失感を味わって
もともと、やりたいことはどんどんやって、行きたい場所にもひとり行っていたタイプ。ですから、自分の行動が制限され、なにひとつ思うようにできない状態は、想像以上にダメージが大きかったですね。「私は誰かの手を借りないと、何もできない人になっちゃったんだ…」と、無力感でいっぱいになってしまいました。 仕事もこれまでのようにはできない。思い描いていた自分とどんどんかけ離れていくことが不安でたまりませんでした。この先どんなふうに進んでいけばいいかわからなくなり、自分のなかで目標を見失ってしまったんです。ひとり欝々として、暗い日々が続きました。
── つらい状態だったのですね…。 優木さん:それでも、まだ子どもが0歳ぐらいのときは、なんとか気持ちを奮い立たせて、両立していたのですが、36歳のときに下の子が生まれて、子どもが2人になったときに、「もう無理だ…」と限界を感じ、ドカンと落ち込みモードに突入しました。 子どもがひとりだと、収録や撮影の間は、マネージャーさんに見てもらうこともできるけれど、2人になるとなかなかそうはいきません。両立するのがだんだん難しくなり、レギュラーを降りて仕事をセーブすることにしました。
世のママたちは、みんなこんなつらい思いをして、子育てと仕事を両立しているのだなと、その大変さが身にしみましたね。
■自問自答する日々から次のステージへ ── どうやって気持ちの折り合いをつけていったのでしょうか。 優木さん:考え方が切り替わったのは、コロナ禍がきっかけです。エンタメ活動が自粛で休止状態になり、家にいる時間が増えたことで、「この先の人生をどう生きたいのだろう」「自分にとって本当に大切なものはなんだろう」と自問自答しながら、じっくり考える時間ができたんですね。
それまで20年間、テレビや雑誌に出るという芸能活動だけにとらわれてきたけれど、もう少し視野を広げて、ひとりの女性としていろいろな活動をしていきたいなと思ったんです。この先、人生はまだまだ続いていくけれど、親子でこんなに一緒に過ごせるのは、子どもが小さな間だけ。そう考えると、いまを大事にして、家族と過ごす時間をしっかり確保しながら、自分も輝きたい。そのためには、どんな方法があるだろうと試行錯誤していきました。