「RMK」や「スリー」の立役者、石橋寧が化粧品業界に提言 Vol.2「なぜメイクアップカテゴリーを軽んじる?」
――:第1回では「日本のコスメの存在感がなくなっている」という話を伺いましたが、実際“ワクワクするものがない”という声をあちこちから聞きます。 【画像】「RMK」や「スリー」の立役者、石橋寧が化粧品業界に提言 Vol.2「なぜメイクアップカテゴリーを軽んじる?」
石橋寧(以下、石橋):日本の化粧品会社のトップはだいたい男性ですよね。男性だからダメということではないけれど「化粧品」という視点が欠けていると思うんです。メーカーにとっては所詮“商品”。“商いをする品”だから、いかに安くいいものを作るかということに注力している。一方、消費者にとっては“化粧品”、つまり“化けて装う品”を買いに行く。そこが分かっていないと思うんです。“優秀なマーケッター”と言われていても、基本的に化粧のことが分からない。それで女性陣に任せたりする。それはもちろんそれでいいんだけど、女性も役職が上がっていくと次第に男性化、“女心を置き去りにした女性”と化し、女心を問うのではなく、原価率や採算軸で思考する。そうして日本のメーカーはみんなスキンケアにシフトしている。
――:リピート確実なスキンケアで収益の安定性の確保を最優先しているということですね。かつてさまざまなメイクアップクリエイターと契約していた資生堂がそのほとんどを終わらせているのが残念です。
石橋:魚谷さん(資生堂グループ会長CEOの魚谷雅彦)は「世界最大のスキンケアメーカーを目指す」とスキンケアにシフト、ポーラはメイクアップの研究所や工場をほとんどなくしてスキンケアに注力、花王も「コフレドール(COFFRET D’OR)」と「オーブ(AUBE)」を年内で終了させる。いったい何を考えてるの?って思う。「化粧品」は「ケアするスキンケア」と「飾るメイクアップ」の両方があってこそ。ところが日本のメーカーは、ケアするほうにだけ力を入れている。ホワイトニングやエイジングケアにおいては、確かに素晴らしい商品はいっぱいあると思うけど、そもそも「化けて装う」ために買うわけだから、両方そろっていなければいけない。メイクアップは今や「ディオール(DIOR)」の独壇場。「どうぞ、どんどん売ってください」といって日本は何も手を打っていないように見えますね。