時代のニーズ先取り、食卓彩る…「大阪ガスクッキングスクール」今年で100周年
考案したインストラクターの新理恵子(51)は「料理教室らしくないけど、あえて『普通』じゃないことをやってみた。助け合うことや、スケジュール管理の大切さを、遊び感覚で学んでもらえている」と手応えを語る。
「料理を教えない」という100年の歩みの中でも異例のこの企画は、コロナ禍の逆境の中で生み出された。
大人数での対面のコミュニケーションが制限され、グループ実習が主流だった料理教室も運営方法を根本から見直さざるを得なくなった。
「これまでとやり方を変えないと生き残れない」。そんな危機感の下、他にも新たな料理教室が生まれた。
プライベート型の講習「Bon moment~素敵な時間~」もその一つだ。
従来はできなかったインストラクターの指名を可能にし、そのインストラクターから、少人数形式で指導を受けられる。高級感のある和食や中華、スイーツなど難易度が高い料理に挑戦できる。通常の教室よりも割高の価格設定ながら、「キャンセル待ち」が出る人気企画となった。
インストラクターの水野里美(54)は「どんな状況になっても、おいしいものを食べたいと思う人はいなくならない。『ワンランク上の自分になれる』と感じてもらえたのが人気の理由では」と自信を示す。
知恵と工夫で数々の逆境を乗り越えてきた大ガスクッキングスクール。取締役営業部長の山内正嗣(57)は長い歴史をこう総括した。
「時代のニーズに合わせて教室を運営してきた。次世代の皆さんに、食を伝える取り組みを続けたい」(敬称略)
大阪ガスグループ
1897年設立。1905年に大阪でガス供給を始めた。ガス以外に電力や生活関連サービスなども手がける。
料理教室は、大阪ガス子会社の「大阪ガスクッキングスクール」が運営する。本社ビル1階(大阪市中央区)、「ハグミュージアム」(同市西区)のほか、オンライン上でも教室を開催している。2023年度の延べ受講者は2万3951人で、約8割が女性だ。