時代のニーズ先取り、食卓彩る…「大阪ガスクッキングスクール」今年で100周年
大阪ガスグループが運営する料理教室「大阪ガスクッキングスクール」が今年で100周年を迎えた。良家のたしなみとしてもてはやされた大正期、習い事の定番になった高度成長期……。最近は職場や親子のコミュニケーションの場としても活用されている。時代のニーズを先取りしながら、食卓に彩りを与え続けている。(寺田航)
大ガスが旧中之島本社(大阪市北区)で料理教室「 割烹かっぽう 研究室」を始めたのは1924年(大正13年)のこと。ガスの供給開始から20年弱、街の明かりの主役の座は、ガス灯から電灯に取って変わられていた。厳しい経営環境の中、見いだした活路が台所のガス化だった。
だが、薪や練炭から、台所の熱源の主役の座を奪うのは容易ではなかった。
「ガスで炊いたご飯は臭い」。こんなうわさが、迷信のようにまかり通っていたからだ。
「ガスの良さを実感してもらうには、料理が一番」。そんな思いでスタートさせた教室だった。
ドイツ製のレンジや湯沸かし器といった当時最新の調理機器をそろえ、高級な西洋料理から、庶民的な家庭料理まで幅広いレシピを披露した。「重役夫人」や「夫人令嬢」が押し寄せ、100人の定員が毎回のように満員になったという。
戦時下の中断を経て52年に教室を再開すると、結婚を控えた女性らが詰めかけた。高度成長期には習い事として社会に定着し、共働き世帯が増えた70年代後半以降は、男性向けの教室も開催した。
「料理を通じて結束力あるチームになるための姿勢や思考を学んだ」「話したことのない人とも仲良くなれたのでうれしかった」
コロナ禍の2021年10月に始めた「クッキングゲーム」の受講者の感想だ。
「思い出ごはん」など指示されたテーマに合わせて、参加者が自ら食材を買いに行き、自由に献立を考える。チーム対抗で、できあがったメニューの出来栄えを競う。
料理だけでなく「コミュニケーション」を作ることができ、企業研修の一環として人気を博す。