鳥取・若桜鉄道4月にSL試験走行 ── 地域に人を呼べるかの「社会実験」(鉄道ライター・伊原薫)
SLで地域に人とお金を呼べるかどうかの「社会実験」
今回のSL走行は、「SLを走らせることで、この地域にどれくらいの観光客が集まるか」という社会実験の一環として実施されます。同時に、沿線では撮影スポットに有料駐車場を設けたり、特製のお弁当や宿泊プランなども用意。鉄道ファン向けのトークイベントも開催されるなど、地域を挙げて「SLを使った町おこし」が行われます。 このような取り組みは全国初で、SLが走ることによる経済効果が具体的にどれほどあるのかがわかるほか、鉄道会社と地元がタッグを組んだ試みとして注目されています。鉄道が残るためには、この「鉄道と地域のタッグ」がとても大切で、お互いの取り組みが相手を助け、相乗効果で発展していければ、日本の地域交通はもっと良くなるに違いありません。 この社会実験が行われる4月11日は若桜谷の桜が満開を迎える時。C12 167号の移設から修繕、運転までを一手に引き受けてきた若桜鉄道運輸課長の谷口さんは、「SLの移設から始まり、少しずつだが前に進んでくることができた。鉄道ファンの皆様もSLを愛する皆様も、みんながルールやマナーを守っていい写真を撮っていただき、多くの人に「走らせてよかった」と思っていただける社会実験にしたい」と話しておられました。昨今「撮り鉄」のマナーが騒がれていますが、皆さんが気持ち良い・楽しい時間を過ごし、そしてSLの本格復活につながるよう、願っています。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。