料亭で高齢者たちが現金を…老後不安につけ込まれ消えた”投資” 「信じてしまった」「逃げるなんて許せない」後悔と憤り リゾート会員権詐欺疑いの手口と実態
リゾート会員権巡るトラブル、実態は
長野県内にも相当数の被害者がいるとみられる、都内リゾート会社の会員権を巡るトラブル。複数の当事者が本紙「声のチカラ」に情報を寄せるなどして取材に応じ、勧誘や被害の実態を語った。 【図】ECサイトで商品をだまし取られる事例
トラブルになっているのは、フィリピンのリゾート「ワールドビッグフォー」運営会社
トラブルとなっているのはフィリピンのリゾート「ワールドビッグフォー」を運営するとされるジャパンエアリゾートインターナショナル(行方栄治代表)。登記簿や概要書面によると、同社は1991年設立で、1口25万円の「預かり金」を支払った人に会員権を売却。会員は会員権の保有額によって施設利用券を交付され、利用券を会社が買い取るとして実質的な「利息」が月々支払われていた。利息は年率4・8~9%。ある会員は「入会者のほぼ全員が投資目的だった」と話す。
虚偽の説明をして集金、詐欺罪に当たる可能性
会社は「リゾート会員権」の名目で長野県内などの会員から多額の資金を集めたものの、新型コロナ禍による休業を理由に会社側が返金に応じずトラブルになっている。会員の相談に対応している弁護士は「被害は全国的で中高年が目立つ」と指摘。会社は虚偽の説明をして資金を集めており、詐欺罪に当たる可能性がある―としている。
食事会で「年金だけで大丈夫ですか」
一部地域では食事会と称して集金や勧誘を繰り返していた―。月一度の昼下がり、長野県上田市内の料亭にある大広間には、高齢者を中心に50人近くが集まった。「皆さん、年金だけで大丈夫ですか」。ジャパンエアリゾートインターナショナルの「理事」を名乗る男性は盛んに投資の重要性を説いた。その後、出席者が男性の前に列をなし、次々持参した現金を手渡していく。男性は慣れた様子で機械を使って紙幣を数えると、そのまま紙袋にしまい会場を後にした。
「毎月確実に利息入る」誘われて
1100万円余をつぎ込んだ上田市の70代女性は、2020年春までほぼ毎月開かれた食事会の一部始終を取材に明らかにした。女性は17年に初めて会員権を購入。知人に通帳を見せられながら「毎月確実に利息が入ってくる投資がある」と誘われて入会した。食事会名目の集金は「今思えば異様な光景だった」と振り返り、「老後の不安につけ込まれ、会社を信じ切ってしまった」と声を落とす。