佐賀に新大学は必要?「県内進学率16%」の危機感、少子化や定員割れでも大学を作る意味はあるのか
「この少子化の時代、大学ができて定住人口が増えることは、人口減少への歯止めとなる。大学は毎年学生が入ってくる“年をとらない組織”だから、若い人たちが一定のボリュームで住み続けるのは、地方自治体にとってインパクトは大きい」と語る。 さらに小松市長は、地域産業の活性化にも期待を寄せる。「新大学では、国際的視野を持った“地域人材”の育成を目指している。卒業生が地元に就職することで、地域産業の活性化も期待できる。大学進学で県外に出ていく子どもや、学びたくても経済的理由で進学を断念する子どもに対して、教育の機会をしっかりと用意することができる」と強調する。
■日本初の韓国エンタメ専攻コース 武雄アジア大学では東アジア地域共創学部を設置し、「韓国・メディアコンテンツ」「観光力・地域マネジメント」の2つのコースを設ける方針だ。 日本初となる韓国エンターテインメント・K-POPカルチャーを専攻するコースでは、エンタメを国の主力産業まで高めた韓国の取り組みを、日韓の比較も含めて学問的に学ぶ。 そして佐賀では初となる、地域経営のリーダーを育てることを目的にした観光力・地域マネジメントのコースも設置する。「佐賀や九州にあるものを、アジアに向けて高付加価値化して流通できる人材や、インバウンドでアジアから人々を引き込む人材を育てたい。県内はもちろん、県外からも学生が集まる魅力あるコンテンツを具体化していきたい」(今村氏)。
大学の地域貢献について今村氏は「地元への就職以前に、飲食店に行くと『アルバイトをしてくれる学生を待っていますよ』とよく声をかけられる」と笑う。そして「武雄アジア大学は座学中心の大学ではなく、地域に貢献し協働する大学。学生が地域に行き、東アジアにも出向き、各地の問題解決を一緒に考える。本当にアクティブな人間力を育成する大学にしたい」と語る。 とはいえ県民の目は依然厳しく「大学だったら長崎や福岡に行けば十分じゃないか」という声は根強い。全国の大学の過半数、短大は9割が定員割れの状態だ。今村氏は「この実態は個別大学の努力限界を超えていないだろうか? 大学に原因を求め、経営に欠陥があるみたいな決めつけ方はいかがなものか」と問題視する。