池江璃花子選手を育てた「子どもの挑戦を後押しする教育」子どもの力を引き出す“失敗”とは?
子どもの力を引き出す「失敗」
子どもにとって必要な経験と信じるなら、親はどんどん挑戦させたほうがいい――水泳の池江璃花子選手の母である池江美由紀さんは言います。多少ハードルが高いと思っても、5歳のときから水泳大会に出場させていた理由とは? 【前回はこちら】池江璃花子選手の母が振り返る「なぜ、璃花子が14歳で日本代表になれたのか」 ※本稿は、池江美由紀著『子どもの心と才能が育つ【池江式】魔法の言葉』(PHP研究所))を一部抜粋・編集したものです。
失敗しても、学ぶことはある
多くの親御さんは、「子どもにはまだできないだろう」と思うことは、させようとしません。失敗したら傷つくのではないか、できなかったらかわいそう……という心配が先に立ってしまうからです。 でも、親のあまりにも慎重すぎる姿勢は、子どものできる力、伸びようとする意欲に、ふたをすることになりかねません。 まだできなくても、挑戦することには意味があります。たとえできなかったとしても、チャレンジして学ぶことはあります。今の時点で、自分がどれだけできるのかを知ることができますし、目標をクリアするためには、自分がどれくらいのことを身につけなければならないのかを知ることにもなります。 璃花子には、5歳のときから水泳の大会に出場させましたが、本人に、「出る? 出ない?」と尋ねることはしませんでした。 ちょっとハードルが高いかなと思っても、 「今度楽しい大会があるから、申し込んでおいたよ。がんばろうね」 と伝えました。
子どもの「がんばる力」を引き出す
子どもに必要な経験だと親が判断したなら、挑戦させればいいのです。結果的にうまくいかなくてもかまわない。とにかくやってみることが大事です。どんな経験になろうとも、必ず成長につながるからです。 大会に出場すれば、競技をするだけでなく、集合時間があったり、スタートまでの待ち時間があったりします。その間、ずっと親から離れて過ごさなければなりません。 親は心配になりますが、誰も頼る人がいないなかでどう振る舞うのか、身の置き所をどうするのかなどを、経験できる貴重なチャンスです。 昔と違って、今の子どもたちには、「苦労」というものを経験する場面がめったにありません。難しいことへの挑戦は、困難を乗り越える数少ない経験となり、子どもにとって必ずプラスになると私は思います。 親の役割は、子どもにラクをさせることではなくて、挑戦を通してがんばる力を引き出すこと、高い目標にチャレンジしようという意欲を後押しすることです。 そのためには、日頃から、 「あなたには素晴らしい力があるんだよ」 「あなたには無限の力があるのよ」 「もっともっとがんばれるよ」 「自分の力を信じてね」 というポジティブな言葉がけをすることを忘れないでください。 【ポイント】 子どもにとって必要な経験なら、親はどんどん挑戦させる。完璧にできる必要はない。