池江璃花子選手を育てた「子どもの挑戦を後押しする教育」子どもの力を引き出す“失敗”とは?
習い事は何のため?
今、多くの親御さんが子どもに習い事をさせています。「習い事は何をさせたらよいのか?」「習い事のやめどきは?」などに悩まれているお母さんの声を時折耳にします。 習い事をさせる場合、将来、子どもがプロとしてこの道でやっていけるように習わせるというケースは少ないと思います。私自身は、 「習い事を通して、あきらめないことや努力することの大切さを学んでほしい」 「先生やコーチから教えてもらうこと、仲間と助け合い、協力し合って目標を達成することを通して、人間関係や人への思いやりの気持ちを学んでほしい」 「何か一つでも好きなこと、得意なことを見つけて子どもの人生が豊かになればいい」 と思ってさせていました。 「習い事をさせる意義は、人間性を高めることにある」と私は考えていたので、教える人の価値観や、先生の人格を重視しました。 たとえば、指導者が勝利至上主義で、 「とにかく勝つことが最も価値が高い」 「結果を出すことが最優先で、子どもの人間性を育てることは後回しにする」 という人なら、そういう指導者のもとで子どもを学ばせたいとは思いません。 習い事を通して、人間として生きる力を高めてほしい、よりよい人間性を身につけてほしいと望んでいるのなら、教室の価値観・考え方や、指導者の人格・人間性を踏まえて、自分の考えとあまりにも異なるところは避けるべきです。
親が得意だったことを習わせてみる
何を習わせるのがいいのかについては、「親が好きだったこと、得意だったこと」が一つのお奨めです。 というのは、親が得意だったことは、子どももある程度その才能を持って生まれてきている可能性が高い、と私は思っているからです。親も経験があるので、サポート環境を整えやすかったり、進捗度合いやぶつかる壁が理解しやすかったりします。 ところで、たくさんの習い事に手を広げているケースをときどき見かけます。子どもが「やりたい」と言えば、とりあえずやらせてみようという考えでしょう。才能があるかどうかわからないから、わからないまま可能性をつぶしたくないという気持ちはわかります。 でも、才能を開花させるためには、ある程度、集中して取り組む必要がありますから、手を広げすぎるのもよくありません。 もう一つ、いつやめたらいいのかに悩むケースもあります。 子どもが「嫌だ」「やめたい」と言っている場合、本人の意思を尊重するのか、それとも、もう少しがんばれば、一つの壁を乗り越えられるところまできているのか。我が子をよく観察し、よく話し合って見極める必要があります。 そのうえで、たとえば、「じゃあ、ここまできたらやめようか」と、一つのクリアすべき到達点を決めて、親子で合意するというやり方もあると思います。 子どもの人生には、これから先も、さまざまな苦労や困難が待っています。そうしたときに、あきらめない強い心を子どもに持たせるためにも、習い事をうまく活用しましょう。 【ポイント】 習い事は、教室の価値観・考え方や、指導者の人格・人間性を踏まえて、親の考えとあまりにも異なるところは避けるべき。