【解説】なぜ“報復の応酬”に? イスラエルがイラン攻撃か…イラン中部で複数の爆発音 今後は
■イスラエルは攻撃をアメリカに“事前通告”…“自らの決定権の範囲”で行動か?
鈴江キャスター 「今回、イスラエルは、イランに対する攻撃を、アメリカに事前通告したということなんですが、アメリカはこれを承認しなかったといいます。イスラエルは、アメリカの意向を無視して攻撃に踏み切ったんでしょうか?」 東京大学・中東地域研究センター 鈴木啓之 特任准教授 「私自身としては、まだまだ情報収集は必要だと思うんですけれども、アメリカの支持を得られなかったことが、今回のこの規模での攻撃に結びついたのではないかと考えています。 もし、イランに対してのイスラエルの軍事行動にアメリカが関与するということになれば、もう、アメリカ対イランの関係になってくるわけですね。 中東地域で、アメリカは軍事的行動というのを徐々に控えてきている、これがこの10年の動きでした。イスラエルの動きというのは、それを転換させかねない動きです。 そのために、イスラエルに対して自制を促していく、そういった形でアメリカは動いてきたし、それに関わることはしない、というふうな姿勢をとってきた。だからこそ、イランへの攻撃というのは、イスラエルが自ら責任をとれる範囲、自らの決定権の範囲で行う、そうした決定がなされた結果が今回の攻撃なのかなというふうに考えています」
■報復の応酬 今後イランは…“直ちに報復するつもりはない”?
鈴江キャスター 「一方で、イランの高官は今回の攻撃に対して、“直ちに報復するつもりはない”としていますが、どうみますか?」 東京大学・中東地域研究センター 鈴木啓之 特任准教授 「イランは静観する構え、というふうに言えると思います。イランとしては今回の攻撃というものが、少なくとも、反撃に値するものとはみなしていない、つまり、“エスカレーションを望んでいない”というメッセージを発している、というふうに考えられます。 イスラエルとしては、そのメッセージを受け取って、この段階で攻撃を終えるならば、これ以上の拡大はしない、という理解ができる。一方で、さらに攻撃をするのであれば、次の反撃、イラン側からの反撃がありうる、そうしたメッセージを受け取った状態にある、というふうに言えます」 鈴江キャスター 「いま、イランとイスラエルの攻撃の話をしていましたが、今回のこういった動きが、中東の別の地域に広まったり、また、エスカレーションしていくような、拡大していくような可能性というのは考えられるでしょうか?」 東京大学・中東地域研究センター 鈴木啓之 特任准教授 「常にそれは考えておかなければいけないですけれども、いま行われているのは、“武力を用いた政治的駆け引き”です。 両国の“開戦の火ぶたが切られた”とは、私は理解はしていません。お互いが、危険なバランスで駆け引きをしている。 もちろんそこには、一歩間違えば全面戦争になる可能性というのは常にあります。ただ、まだその段階ではない、というのが私自身の評価です」