なぜ総合商社がコスメ事業に参入するのか。丸紅、群馬発ブランドに投資「次世代事業に」
総合商社の丸紅が、次世代事業として育てようとしている企業がある。群馬発の化粧品ブランド「OSAJI(オサジ)」だ。両者は2023年に資本提携契約を結んだ。 【全画像をみる】なぜ総合商社がコスメ事業に参入するのか。丸紅、群馬発ブランドに投資「次世代事業に」 オサジは年商約20億円、中堅規模の化粧品メーカーだ。純利益4700億円を稼ぎ出す総合商社からすると、小さな存在かもしれない。なぜ日本のコスメメーカーに目を付けたのだろうか。
MEGUMI売れ、みな実売れ連発の新興ブランド
オサジは2017年、現在代表を務める茂田正和氏の家業である日東電化工業(群馬県高崎市)の新規事業として生まれた。茂田代表は母親が皮膚疾患に悩まされる姿を見て、2000年代から化粧品の研究・開発に取り組んできた。皮膚科学を学び、「本質的なスキンケア商品」づくりにこだわったブランドとして、オサジを始めた。 数年後の新型コロナウイルス禍が、オサジ製品の評価が高まる契機となった。マスクによる肌荒れに悩む人が増え、敏感肌でも使えるスキンケア品の需要が増加。このタイミングでアルコールスプレーによる手荒れにいち早く着目し、保湿成分入りのアルコールハンドスプレーを発売してヒットした。 「タレント売れ」も多い。田中みな実さんが紹介して話題になった化粧品や、美容本がベストセラーとなったMEGUMIさんが紹介したスキンケア商品など、「美容のお手本」とされるインフルエンサーの発信でオサジを知る消費者も多い。
コスメが商社の「次世代事業」になるのか
だが、そもそもなぜコスメが商社の「次世代事業」なのか。 オサジとの資本提携は、丸紅に2019年に発足した「次世代事業開発本部」が手掛ける。丸紅が化粧品分野を「次世代事業」に位置づけるのは「次世代の消費者に評価される」領域だからだ。 化粧品の消費量は1人あたりの名目GDPと相関があるとされ、国内だけでなく、特にアジア展開において成長可能性を秘めていると丸紅・次世代事業開発本部ウェルネス事業部の市村陽平部長代理はみる。 「国の成長とともに、1人あたりの化粧品にかける金額も増えてくる。その観点でアジアは今後の化粧品需要の伸びが見込めるため、着目していた」(市村部長代理) こうした経緯から、丸紅はコスメ特化型のドラッグストア「アインズ&トルぺ」のマレーシア展開を手掛けるほか、タイの化粧品ブランドに出資している。 他の総合商社も、近年コスメ領域への関与がみられる。三井物産は、コスメの口コミサイト「@cosme」を運営するアイスタイルと2022年に業務資本提携を締結した。伊藤忠商事も複数の韓国コスメブランドと独占輸入販売契約を結んでいる。