住友生命がこの1年半で激変、今後の保険ビジネスを占う「3つのポイント」とは?
ポイント(2):体制面の強化
体制面での強化について、今回発表した中期経営計画では新契約年換算保険料についての具体的な数値目標は公表されていないものの、保険料収入の推移をみる上で重要であることから2023年度のIR資料から5年間の推移をみたい。特に国内は概ね横ばいに近い数値となっており、ウェルビーイング価値提供顧客数の伸長を見る限り、営業体制の強化が求められていることは確かといえる。 そうした中、中期経営計画では、営業職員を中心とした販売体制の強化と併せて、体制強化に向けた営業職員の育成や評価の見直す。職員の在籍率向上に関する指導者教育の強化に加えて、フォロー体制についても支社本社の一体化など、販売~フォローまで一貫した体制強化に取り組むようにみえる。 このほか、お客さまサポートについて従来のチャネル別での対応の違いをなくし、チャネルに関係なく均一でのサービス提供体制の整備を進める点にも言及、主力である営業職員チャネルの強化を含めてチャネル全体として体制整備を進めていく考えである。 また、地方自治体とのVitalityを活用した連携事業にも力を入れている。同社は2021年4月からVitality健康プログラムの一部を提供する体験版の提供を活用し、地方自治体との連携を加速するという。 実際に同社が「地方自治体とのVitalityを活用した連携事業」としてリリースしている発表本数を集計したところ、県や市との提携が急激に増えており、2024年に至っては最新の10月11日時点までで29本と前年度を大きく上回る結果となっている。 こうした自治体とのサービス提供数を更に増やし、2年目以降の継続事業数の増加に繋げることで強固な提供体制の構築を進めていくものと推察される。
ポイント(3):デジタルに関する取り組みの強化
ポイント3つ目はデジタルである。同社の中期経営計画において各種データを活用したパーソナライズ化された最適な保障の提供やデジタルを活用した多様なサービス提供機会の創出、コンサルティングサポートにおけるAIなどの活用、手続などのデジタル化など、さまざまな形でIT活用に触れている。 住友生命は中期システム化計画(2022)において次期アーキテクチャ構想の策定およびデジタル化推進のためのプラットフォーム構築に取り組む中で、API連携基盤を新たに構築するなど柔軟なシステム構築を推進している。 APIを活用した組込み型保険の推進などと併せて、今後、こうした基盤をベースにこれまでVitalityを中心に蓄積してきた各種データを活用し、よりパーソナライズな保険商品の開発・提供に向けて取り組んでいくとみられる。 また、生成AIについてもエクサウィザーズと協業、生成系 AI を活用したAI顧客情報管理システム導入し、AI を活用した営業職員体制の進化プロジェクトを進めるなど、ポイント(2)で記載した営業職員体制の強化をサポートするものとなっている。