革命の代わりに選挙がある…菅孝行・泉房穂が衆院選の後に考えたこと
泉房穂氏といえば、前明石市長として大胆な市政改革を行い、今は政治状況への鋭い発信と、政界再編に向けた「仕掛け」で知られる現代のキーパーソン。彼には東大時代に恩師がいた。ラディカルな評論家で社会運動家でもある菅孝行氏だ。40年ぶりに再会を果たした師弟が、現代の政治闘争と社会変革の核心を語り合った──。(構成・倉重篤郎) 【写真】再逮捕された「美人すぎる寝屋川市議」の写真集全カット
解雇された人間の運命に想像力が働かない
泉房穂最近テレビに呼んでもらうことが多くなりましたが、悔しいのは、20代、30代ぐらいの若手の多くがほぼみんな新自由主義的なことです。ほぼ全滅状態に近いですわ。ビックリしますよ、その発想には。規制緩和にしても「負けたヤツが悪い」と。 菅孝行「企業の解雇規制を撤廃しろ」なんてことを熱烈に語るのが、30代ぐらいのコンサルタントとかいうヤツだったりする。解雇された人間の運命に、想像力が働かない。 泉テレビのコメンテーターに出ているのは、ほとんどそっち系だから、寛容とか助け合いというスタンスの人は、ほとんどいない。 菅自分の損得はともかく、それのおかげで社会全体ないし住民の大多数が損するという感覚はないのかしらね。テレビって自分のことではなくて社会のことを話題にする場所のはずだよね。 泉いわゆる女性枠でのコメンテーターもほぼそうなんですよ。テレビ局としては男だけじゃなくて女、年配だけじゃなくて若い人を出したいのはわかりますけど、その枠にハマるのが、私から言うと男より男性的な発想をする女か、自由競争的な新自由主義的な発想の若手です。 菅テレビでしゃべっていると孤立するでしょう。いろんな番組にゲストに呼ばれても、話が合わないのでは。 泉この1週間でテレビに15本出てるんですが、聞くと、私が出ると「数字が全部跳ねる」と言うんですよ。それで、経営陣が反対でも現場が呼んでくれる感じですね。 菅視聴率が取れれば受け入れるんだ。全敵のなかで市民の支持でやってきた力が生きているとも言えるけど。 泉そういう意味では、自慢じゃなくてニーズはあると思うんです。私が言うのは「国民負担の減」であって、「株価が上がってバンザイ」なんて言いませんから。庶民的な共感は一定のベースはあるのかな、と自分では思いたい。もちろん、テレビ局が私を呼んでバランスを取ってる面があるのかなとも感じますけどね。 菅テレビの話になったので、連日放送している今の政局についても話しましょうか。10月27日には衆院選がありました。石破茂は、首相になった途端に財務省の言うことを聞くし、統一教会との癒着の問題も隠すみたいだし、裏金問題では、公認外しは一応やったけれど、政治資金規正法の抜本改正とか、文書交通費の始末とかはトボケてる。安保・基地関連ではアメリカにも忖度し始めた。自民党の政治家の中ではあの人に私は多少なりとも期待してたんだけど。 泉テレビでも言ったんですけど、ネーミングは「期待外れ内閣」です。私も若干期待したものの、始まる前に失望させられましたね。