投資初心者が選びがちの全世界株式型投資信託。必ずしも分散投資であるとはいえない?
投資初心者の多くが、分散投資を目的に全世界株式型投資信託を選ぶ傾向があるようですが、しっかりとリスクが分散されているのかというと、必ずしもそうではありません。 本記事では、全世界株式型のETF(上場投資信託)が、米国を代表する株価指数のS&P500と値動きがほとんど同じであることを確認したうえで、分散投資の意味について改めて考えていきます。
VTとS&P500はほとんど値動きが同じ
全世界株式型ETFで有名なバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(以下、VT)の場合、ファンドに組み入られている上位10銘柄は2024年1月10日時点で、アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、テスラ、バークシャー・ハサウェイ、ユナイテッドヘルス・グループとなっています。 上位10銘柄の組み入れ比率を合計すると、VTの構成銘柄全体の16.21%を占めます。これらは世界的にも時価総額が高い企業の銘柄で、たとえ全体の割合では少なく見えても、実際はこのファンドの値動きを決めているといっても過言ではありません。 それでは、実際にVTのチャートを見てみましょう。図表1のチャートでは、VT(黒)と米国の株式指数であるS&P500(オレンジ)について、2015年3月付近を100として推移を表示しています。 図表1 〇VTとS&P500の推移
出典:TradingView Inc. 「TradingView」 ※解説を目的に使用しています。 S&P500が上昇するとVTも上昇し、反対にS&P500が下落するとVTも下落していることが分かります。つまり、全世界株式型投資信託のVTは、ほとんど米国株と同じ値動きを示しています。 このように同じような値動きになるのは、先ほど述べたとおり、VTに組み入れられている上位10銘柄が、世界的に時価総額が高い米国企業の株式だからです。