新聞協会、AIは「著作権侵害」 検索連動型、記事の利用承諾要請
日本新聞協会は17日、米大手ITのグーグルやマイクロソフトなどによる、インターネット検索と生成人工知能(AI)を組み合わせた「検索連動型生成AIサービス」について、著作権侵害に当たる可能性が高いとする声明を発表した。情報源として記事を無断利用し、記事に類似した回答を表示させることが多いと指摘。米大手ITに対して報道機関の利用承諾を得るよう求めた。 【写真】「日本の最初の総理大臣は」などの質問に対し、誤った回答をしたチャットGPTの画面
検索連動型AIは記事を不適切に転用や加工するため、事実関係に誤りのある回答をする例があると分析。正確性や信頼性を確保してからサービスを始めるべきだと強調した。政府に対し、著作権法改正など知的財産に関連する法律について、早急な見直しや整備を要請した。 検索連動型AIは、利用者が知りたい事柄を入力して検索すると、AIが複数の関連サイトを参照し、要約などの加工をした文章を表示する。グーグルは昨年から導入を始めた。 声明では、ネットのさまざまな著作物への「道案内」の役割を果たすネット検索に対し、検索連動型AIは「種明かし」であり、全く別のサービスだとした。参照元の記事の本質的な内容をそのまま表示しており、著作権侵害に当たる事例が多いと強調した。 利用者が参照元のサイトのニュースを閲覧しない「ゼロクリックサーチ」が増え、報道機関に不利益が生じる弊害も指摘した。報道機関の取材活動が痩せ細ると、民主主義や文化に損失をもたらすとして、政府に著作権法などの見直しや整備を求めた。
また検索連動型AIが事実と異なるなど誤情報を生むことに懸念を表明した。AIの誤りであっても、参照元の記事が間違いであるとの印象を持たれてしまい、報道機関の信頼性を傷つける恐れもあるとした。 公正取引委員会が昨秋の報告書で、ニュースサイトの入り口となるネット検索の運営会社は、独禁法上の優越的地位にある可能性があると指摘したことに触れ、記事利用許諾を得ないまま検索連動型AIを提供すると、独禁法に抵触する可能性にも言及した。 グーグルの広報担当は取材に対し「生成AIによる検索サービスは、日本の著作権法を含む法令を順守している」とコメントした。「グーグルのサービスは質の高いニュースにアクセスできるようにしており、日本の報道機関と長期的に協力関係を築いている」と主張した。