【注目2歳馬】シルバーステート産駒の良血キングノジョーが新馬戦快勝 アイビーSのマスカレードボールは重賞レベルの好時計
コンパクトな馬体もレースセンスを感じる走り
10月3週目の新馬戦から注目馬として紹介するのは、19日(土)の東京芝2000m戦をC.ルメール騎手とのコンビで勝利したキングノジョーだ。 【天皇賞(秋)2024 推奨馬】勝率50%&複勝率90%の鉄板データに該当! 実力と爆発力はメンバーNo.1(SPAIA) 前週に本コラムで取り上げたデンクマールと同じ田中博康厩舎所属、1週前追い切りでは互角の動きを披露していたが、レースでも能力の高さを改めて示した。 父はシルバーステート、母パレスルーマーという血統で、半兄には天皇賞(春)優勝馬のジャスティンパレスやステイヤーズSを制したアイアンバローズ、さらに種牡馬としてジャンタルマンタルなどのGⅠ馬を輩出しているパレスマリスがいる良血。2023年のセレクトセールでは3億4,100万円という高値がついた。 血統、調教面の双方から話題を集めていたこともあり、単勝オッズ1.3倍と断然の支持を受けて迎えたレースは、4番枠から好スタートを切る。序盤はやや折り合いを欠くような場面が見受けられ、3頭横並びになった先頭集団の一角につける形となった。 前半800mを50.5で通過したあたりで力みが抜けて折り合ったが、中団にいたウィッシュツリーが捲っていったことも重なり、4角では馬群の中の6番手までポジションを下げることとなる。 直線に向いても前が塞がっており、進路が開いたのは残り400mの標識を過ぎてから。それでも一度もムチを入れられることなく力強く伸びると、残り150mで先頭へ。最後は流しながら、粘るウィッシュツリーに2馬身半差をつけた。 勝ちタイムは2:02.4と驚くほどの数字ではないが、レース後半は馬群に入れて折り合い、ラスト11.8-11.1-11.3(34.2)のところを33.8でまとめている。序盤の折り合い面を除けば、馬体重444kgとコンパクトな馬体ながら鞍上の意のままに動けるレースセンスを感じさせた内容だった。兄たちよりも距離の融通が利きそうで、さらに距離が伸びることも問題なさそうだ。
半姉はマスクトディーヴァという良血
同日の9レースに組まれたアイビーS(L)には、新馬戦を7馬身差で勝利したピコチャンブラック、2戦目で大きな変わり身を見せて勝利した良血シルバーレインら好メンバーが集結。注目の一戦を制したのは、3番人気に推された戸崎圭太騎手騎乗のドゥラメンテ産駒マスカレードボールだった。 レースはシルバーレインが後続を6馬身ほど離して逃げ、1000m通過は59.4。道中3番手から運んだマスカレードボールは直線でぽっかりと開いていた内を突くと、残り200mでシルバーレインを捉え、最後はピコチャンブラックの追い上げを封じて1馬身半の着差をつけた。 勝ちタイム1:45.8は過去の同レースと比較しても一頭抜けている好タイムで、毎年11月に行われる東京スポーツ杯2歳Sに当てはめてもトップレベルと言えるものだった。ラストも11.3-11.2と加速ラップでまとめており、これらの数字面では来年のクラシック戦線でも上位に入ってくるのではないかと思わせる。 故障により引退が発表された半姉マスクトディーヴァも、秋華賞ではリバティアイランドにあと一歩に迫る2着と好走したが、3歳春はクラシックに乗ることができなかった。 兄姉たちは成長曲線が緩やかな馬が多い血統であるにもかかわらず、早い時期からこれだけのパフォーマンスを発揮できたマスカレードボールには今後も大きな期待が持てそうだ。 ライタープロフィール 三木俊幸 編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
三木俊幸