個人事業主に新たな試練!?6月から始まる「定額減税」…たった1年で終わる複雑怪奇な制度で混乱必至
確定申告の現場に限ると、インボイス制度未登録者は例年通りで、インボイス制度登録者(法人含む)は適用する課税制度によって大変さが違ったという。 「消費税の申告には、本則課税・簡易課税・2割特例という3つの計算式があり、本則課税の場合は帳簿にひとつずつ細かい情報を入力しなければいけないので大変でした。でも、うちのお客様はほとんどが簡易課税か2割特例だったので、そこまで手間ではありませんでした。全体的に考えたら、追加された項目分の入力・確認作業が増えたので、時間にしたら1.5倍増くらいだと思います」 「印象に残っているのは、クリエイターの方の理解のバラつきが激しくて、正しく適格請求書を発行できない人が多かった点です。インボイス制度に登録しているはずなのに登録番号が記入されていなかったり、税率が記入されていなかったり、反対に間違った税率を記入されていたり……。小さなミスがたくさんあって、法人のお客様からの質問も多かったですね」 ◆混乱の理由は消費税の理解不足…来年度は今年の4倍の納税額になる! 他にも、今回の納税でインボイスの適用は10~12月の3ヵ月分だけということを知らない人も多かったと山田さん。 「納税後に『来年も、このくらいの額を納めるんですね』と言われたお客様もいました。『今年は3ヵ月分なので、来年は4倍になります』と伝えたところ、『だったら、インボイス制度の登録を取り消したい』という相談も来て(苦笑)。翌月から登録を取り消しする方法を発見したので、税理士仲間にも相談したりして、3月末にYouTubeにアップしたら、感謝のコメントをたくさんいただきました。登録を取り消したい人の多さに驚きましたね」 こういったことから、インボイス制度の理解の前に、消費税についての知識が乏しい人が多く、この点を改善しなければいけないことに気づいたという。 「当たり前のことですが、インボイス制度は、登録して適格請求書を発行するだけではありません。納税者になるので、消費税の知識も必要です。『税込経理』や『税抜経理』、『割戻し計算』に『積み上げ計算』など。あと、令和元年以降の消費税は10%と8%になりましたが、国と地方に分けて計算をするため、国の消費税は通常7.8%(残りは地方の2.2%)、軽減税率なら6.24%(残りは地方の1.76%)が正解になります」 そのため、e-Taxでは、国の消費税の申告欄には馴染みのある『軽減税率8%』ではなく、『軽減税率6.24%』としか書かれていないのも事実だ。 「残念ですが、消費税に詳しくない人への考慮はされていないのでしょう。それに、『充当』といって、還付金を納税に充てる方法もあるんですが、あまり知られていません。こういったことの説明も含めて、国は消費税について広く浸透させる必要があると思いました」