鉄砲伝来の島で生まれた“種子島包丁”。【今日の逸品】
〈池浪刃物製作所〉の出刃包丁《種子島本種(ほんたね)》
カーサ ブルータスの人気企画「10選」シリーズから、こだわりの逸品をジャンルレスに日替わりでご紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 「種子島包丁」という名の刃物がある。種子島(たねがしま)といえば鉄砲伝来。1543年、島にポルトガル船が漂着し、日本に初めて鉄砲が伝えられた。その時たまたま船に乗っていたのは中国・唐の鍛冶職人。彼らが伝えた鍛鉄技術が島に残り、やがて鋏(はさみ)や包丁が作られるようになったのだ。 今回カーサが選んだのは、種子島包丁と種子島鋏を作り続けてきた老舗〈池浪刃物製作所〉の出刃包丁《種子島本種(ほんたね)》。切れ味と耐久性が持ち味で、見た目はガッチリだけどそれほど重たくなくて使いやすい。出刃はもともと魚をさばくために考えられた形だが、肉や野菜もスパスパ切れる“万能包丁”としてうってつけ。料理が楽しくなる一本だ。 種子島では昔から砂鉄が採れたために製鉄技術が発達し、刀鍛冶などの職人もたくさんいた。そこへ鉄砲を積んだ外国船が漂着したという偶然が、約480年後のキッチン仕事を楽しくしているのだからすごい! 公式サイト
photo_Naoki Seo text_Masae Wako Styling_Makiko Iwasaki