《初心者のための会計入門》会社の経営状態が見えてくる!「決算書」の超キホン【公認会計士が解説】
「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」
生徒:決算書は具体的にどのようなものですか? 先生:重要な決算書は「損益計算書」と「貸借対照表」です。上場企業になると、「キャッシュ・フロー計算書」というものも追加されます。ここにあるように、損益計算書は、売上高や利益を報告するものです。専門用語が並んでいるから、見慣れない人にはわかりづらい内容かもしれませんね。 生徒:どれだけ儲かったのか報告するわけですね。ほかの決算書はどのようなものでしょうか? 先生:決算書のなかで、いくら稼いだかがわかるのが「損益計算書」で、会社がお金をどのような状態で持っているのか、どこから調達したのかがわかるのが「貸借対照表」なのです。そして、純粋なおカネの流れがわかるのが「キャッシュ・フロー計算書」です。これら3つの表はつながっていますが、その関係がわかれば、会社の状況を深く理解できるようになりますよ。
「管理会計」「財務会計」それぞれのルール
生徒:難しい単語が多くて理解しづらそうですが、株主や銀行が理解できればそれでいいですね。 先生:いいえ、それでは不十分なのです。それ以外にも決算書を作る目的があります。それは「会社の経営者や従業員のために決算書を作って報告すること」です。これを「管理会計」といいます。この一方で、株主や銀行などに決算書を作って報告することは「財務会計」といいます。 生徒:管理会計でも同じ決算書を作るのでしょうか? 先生:いいえ。目的が違うので、違った形式の決算書を作ることになります。 生徒:決算書を作るためのルールはありますか? 先生:会社内部で使う管理会計の決算書にはルールはなく、自由に作っても問題ありません。しかし、外部へ報告する財務会計では、金融商品取引法や会社法などの法律によって決められたルールがあります。外部の人にもわかりやすいように共通の会計基準で作成されているのです。 生徒:同じルールに基づいて作成されていなければ、健康診断の結果を比較することができませんものね。日本企業の決算書と外国企業の決算書は、同じルールで作成されているのでしょうか? 先生:実は、会計のルールは複数あり、日本基準、米国会計基準、国際会計基準(IFRS)などが挙げられます。日本の企業が必ずしも日本基準を使う必要はなく、グローバルに営業を展開する大企業だと、米国基準やIFRSを使っているところもあります。 生徒:そうなると、トヨタ自動車やソフトバンクの株式に投資するのであれば、日本基準だけでなく米国基準やIFRSまで理解しないといけないでしょうか。大変ですね。 先生:でも、基本的な計算は似ていますから、それを覚えてしまえば、理解できるようになりますよ。これから会計の勉強を始めましょう。 生徒:はい、わかりました! 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄