バブル期に各自治体へ1億円…「ふるさと創生」とは一体何だったのか 小学校に作った“巨大電飾看板”のその後
さらに8500万円という高額な費用がかかることから当時、蒲郡市の職員組合が行ったアンケートでも9割以上が反対だった。 現在の蒲郡市民の男性: 「新幹線からしか見えんもん。金で1億円分買っておいた方がよっぽどいい」 別の男性: 「1億円にしてはあまりにも不甲斐ない。もう少し庶民に有効な活用をすべきだったんじゃないか」 結局、設置から9年後の1999年に看板は撤去され、安値で転売された。PRの効果はあったのか?2024年4月、鈴木寿明市長に話を聞いた。 蒲郡市の鈴木寿明市長: 「関東から関西に旅行なり仕事なり。行きかう方が蒲郡の存在を電飾看板で知ってもらうというのは大きい効果があったんじゃないか。本当に大成功であったかというと、それはクエスチョンがつくかもしれない」
鈴木市長は「一定の効果はあった」と、その後は、映画のロケの誘致に力を入れるなど、形を変え新たなPRの道を模索している。
■「村営キャバレー」開業し約10年で閉店した村も
「ふるさと創生」では全国で3000以上の自治体が1億円を受け取り、多くの自治体が温泉を掘ったり、ハコモノを作るなどしてきた。 秋田県仙南村(現在の美郷町)では「村営キャバレー」をオープンさせた。若者の人口流出を食い止めるのが目的だったが、利用者は中高年中心で経営も立ち行かず、約10年で閉店した。
■ふるさと創生金きっかけに「世界一」が生まれた自治体はいまもなお
“バラマキ”と批判されるケースが多い中、地元の人に愛されているのが、岐阜県瑞浪市の八王子神社にある「世界一のこま犬」だ。美濃焼で作られた「こま犬」は高さ3.3メートルあり、ギネス世界記録に認定されている。
新しい窯を作る際、氏神さまに狛犬を寄進する習わしがあったことから市民のアイデアで「ふるさと創生」の1億円を使い、こま犬が作られた。 当時の中心メンバーだった河口建喜さんには、あるこだわりがあった。
河口さん: 「地域のみんなで作ったという意識を持ってもらわないと、やっぱり長いことを大切にしてもらえないということですね。『行政が作りました』『はい、持ってきました』ではダメだと思うんです」