バブル期に各自治体へ1億円…「ふるさと創生」とは一体何だったのか 小学校に作った“巨大電飾看板”のその後
バブル絶頂期の1989年、「ふるさと創生事業」として全国の自治体にそれぞれ1億円が交付された。需要のないハコモノを作るなど「ムダ使い」と批判を浴びたものもあったが、今もなお地域に根付いているものもある。注目を集めた取り組みはどうなっているのか、その後を追った。 【動画で見る】バブル期に各自治体へ1億円…「ふるさと創生」とは一体何だったのか 小学校に作った“巨大電飾看板”のその後
■“城”を作ったり“自由の女神”設置した自治体も
全国3000以上の自治体に一律1億円をバラまいた竹下内閣の「ふるさと創生」事業は、使い方は自由で、どう使えばいいのか担当者が頭を悩ませながら、様々な使い方が生まれた。 1989年、兵庫県津名町(現在の淡路市)では、1億円の巨大な金塊が公開された。重さは63キロあり、多くの町民が見学に訪れた。
岐阜県伊自良村(現・山県市)では現金1億円を村民に公開。
見たこともない大金に驚いたり、手を合わせる人の姿もあった。 青森県百石(ももいし)町(現在のおいらせ町)が設置したのは「自由の女神」だ。
アメリカのニューヨーク市と「北緯が同じ」だったためだという。近くには米軍の基地もあるため外国人からも人気で、2020年には改修工事も行われた。
当時の百石町の町名から愛称が“ももちゃん”と付けられている。 岐阜県の墨俣町(現在の大垣市)では、墨俣一夜城という城の建設費の一部に1億円を充てた。桜の名所として知られ、年間3万人が訪れる。
城の屋根に設置するものと展示用で「金シャチ」も作った。
展示用のミニチュア(800万円相当)は2002年に盗まれ、その後も盗難未遂などが相次いだため、現在は展示されていない。
■「みかん」「竹島」等の特産品が表示される巨大電光掲示板には反発の声も
愛知県蒲郡市では1億円の使い方をめぐり、物議を醸した。
市内の西部小学校の校舎の屋上に1990年、縦4.4メートル、横17.6メートルの巨大な電飾看板が建てられた。当時としては画期的な、発光ダイオードを使っていた。
看板には「がまごおりし」と市の読み方をアピールしたり、「みかん」「竹島」など、蒲郡の特産品や名所をPRしていたという。 電飾看板は新幹線の車窓から見える場所に建てられ、出張や旅行中の乗客に蒲郡の魅力をアピールするのが狙いだったが「学校に電飾看板を建てるのはおかしい」と反発の声が多くあがった。