家・教育・車のローンを並行して借りられる? 年収の何倍もの額を借りても問題ない?
家や自動車の購入、子どもの教育費を用意する際にローンの利用を検討する人も多いのではないでしょうか。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? いずれもまとまった金額が必要なので、現金一括払いが困難なことは決して珍しくありません。 そこで、異なる目的のローンを同時に契約できるのか、借入総額が年収の何倍になるような借り入れが認められるのか、そもそも審査に落ちるのではないか気になるところです。 本記事では、年収の何倍もの額のローンを契約できるのか、借り入れの際に重要視される返済比率について解説します。
家・教育・車のローンは総量規制の対象にならない
家や教育、車のローンは、貸金業法の総量規制で定められている「個人は貸金業者から年収の3分の1を超える借り入れができない」という制限の対象になりません。 総量規制は、貸金業者からの借り入れを制限する法律なので、銀行からの借り入れは対象外です。その他にも、以下の貸付は「総量規制のなじまない貸付」として、除外貸付に分類されています。 ・住宅ローン(不動産購入を目的にした貸付) ・自動車ローン(自動車購入時の有担保貸付) ・高額療養費の貸付 ・有価証券を担保にした貸付 ・不動産を担保にした貸付(個人顧客または担保提供者の居宅などを除く) ・売却予定不動産の売却代金で返済を行う貸付 ただし、総量規制に抵触しないからといって、無条件に高額融資を受けられるわけではありません。申込者の属性などを調査して、返済能力を有していると判断されれば、年収の何倍もの額を借りることが可能です。
家・教育・車のローンの併用可能
審査に通れば、家・教育・車のローンの併用が可能です。ただし、ローンの審査基準は公開されていないため「こうすれば審査に通る」という確実な情報はありません。 申込者の年収や勤務状況、既存の借入状況と返済履歴などを確認し、基準を満たしていると判断されれば融資契約を締結できるでしょう。 ■返済比率(返済負担率)が考慮される傾向 家・教育・車のローンを併用する際に考慮されるポイントは、年収と年間返済額の割合である返済比率(返済負担率)です。融資契約を締結したものの後に返済が困難になることが起こらないように、返済比率の制限を設けています。 年収に対し、すべての借り入れの年間返済額を合算した割合が基準以下でないと融資が認められません。返済比率の基準は金融機関ごとに異なりますが、フラット35の返済比率は以下のとおりです。 ・年収400万円未満の場合:30%以下 ・年収400万円以上の場合:35%以下 民間の金融機関も返済比率の上限を30~40%に設定しています。例えば、年収500万円の人がフラット35を利用する場合、返済比率による年間返済額の上限は175万円です。 ■返済比率はすべてのローンを合算した金額で計算する 返済比率は、住宅ローンと自動車ローン、教育ローンのそれぞれで分けて計算するわけではありません。 すでに住宅ローン契約のある人が自動車ローンも利用するのであれば、併用後の年間返済額の合計が上限を超えないようにする必要があります。 ■完済時の上限年齢を定めている場合がある ローンによっては、完済時の上限年齢を定めている場合があります。例えば、完済時の上限年齢が80歳のローンを65歳で契約するとしたら、借入期間を15年以内にしなければなりません。借入期間が短ければその分だけ返済負担が大きくなります。 年間返済率の上限が理由で、融資契約の締結が困難になることも考えられるでしょう。 頭金を多く入れるなどしてローンの借入金額を減らせたとしても、すでに定年退職していれば貯金を崩したり、老後の資金源である年金収入から返済を行ったりすることを迫られます。 老後資金の計画について考えたら、完済時の上限年齢は慎重に考える必要があります。