なぜ東京は雪に弱いのか 自分でできる雪への備えとは
この冬も周期的に強い寒気が南下し、北日本や日本海側の地域では度々、大雪に見舞われる一方で、東京など太平洋側の地域では冬晴れが続いています。しかし、そんな東京でも雪が降り、大きな混乱が起こることもあります。 【図解】雪の中、車の運転に迫られる場合に備えたい物
■東京に雪を降らせる“南岸低気圧”
本格的な雪のシーズンとなり、北日本や日本海側の地域では、周期的にまとまった雪が降り、平年を上回る積雪となっている所も少なくありません。しかし、そんな冬でも東京ではめったに雪が降ることはありません。というのも、この時期によくみられる「西高東低の冬型の気圧配置」は、日本海側では雪が降りやすくなりますが、太平洋側では晴れることが多くなるからです。“冬らしい天気”が続く冬ほど、東京では雪が降りにくいともいえます。
しかし、そんな東京でも年に何度か、雪の降ることがあります。その主な原因となるのが、九州の南から関東の南へ進む「南岸低気圧」です。この南岸低気圧は、発達の程度や進むコース、上空の寒気の強さなどによって、東京で雨になるか雪になるか微妙なあんばいで左右され、予想が難しいことでも知られていますが、時には都心部で20センチ以上の積雪をもたらすこともあります。 都心では5センチ程度でも雪が積もれば、あちらこちらで車の立ち往生や慣れない雪道での事故や転倒が発生し、場合によっては鉄道の運転見合わせや高速道路の通行止めなどによって人々の移動が麻痺し、大きな混乱となる可能性があります。
■「東京は雪に弱い」のはなぜ?
北日本などの雪国と比べれば決して多い雪ではなくても、ひとたび雪が降れば東京では大きな騒ぎとなります。それもそのはず、めったに雪の降ることがない東京は、そもそも“雪慣れ”していないのです。 気象庁の統計に「雪日数」というものがあります。これは、雪やみぞれなど、いわゆる雪として観測されるものが降った日数です。これによると、平年の雪日数は、札幌で134.5日、青森で119.5日、秋田で108.9日、新潟で90.5日などとなっているのに対し、東京はわずか8.5日。1シーズンで2日ほどしか雪を観測しない年もあるなど、雪国と比べると圧倒的に雪の降る日は少なく、積もるような雪となると、その数はさらに少なくなります。 当然、雪道の歩き方や車の運転なども慣れていない方が多くなりますし、めったに降らない雪に対して「備えをしている」という方も、そう多くはないでしょう。雪道でも滑りにくいスノーブーツや雪かき用のスコップを用意していたり、降る前から冬用タイヤに換えたりしているという方は、普段から雪の降る地域と比べたら極端に少なくなるかもしれません。 同様に、道路や鉄道などの施設・設備面での雪対策も雪国のようには整っておらず、除雪作業にも時間がかかります。このように、雪に不慣れであることや、めったに降らない雪への対策が進んでいないことなどから、積雪時の混乱が大きくなると考えられます。