【高校サッカー選手権】矢板中央、激闘の末に國學院栃木をPK戦で退け2年連続14回目の選手権出場!
10月12日に3校合同チーム2チームを含む64校60チームが集い開幕を迎えた第103回全国高校サッカー選手権栃木予選。11月16日に栃木県宇都宮市の栃木県グリーンスタジアムで開催された決勝戦のカードは昨年に続き、就任27年目を迎えた髙橋健二監督の下、現在、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 関東1部で高体連チーム最上位となる4位に位置する実力を初戦・4回戦からの3試合で25得点無失点という圧倒的な数字で示してきた矢板中央と、現役時代は中盤のマルチロールとしてJ1・G大阪などJ通算151試合ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)20試合に出場した輝かしい実績を誇り、今年から母校の指揮を執る武井拓也監督に導かれ、準決勝では県総体準優勝の佐野日大を延長・PK戦で下し、1997年度・第76回大会以来27大会ぶり3度目の選手権へ王手をかけた國學院栃木の両雄となった。 【フォトギャラリー】 矢板中央 vs 國學院栃木 対する國學院栃木はGKがレフティーの1高橋滉平(3年)、3バックは右から3風見羽留夢(3年)、5貴船大翔(2年)、2太田康介(3年)。中盤はアンカーに4川上悠輔(3年)が入り、その前に右サイドは絞り気味に右から10斎藤旺雅(3年)、18小山敦生(3年)、準決勝までの試合で6得点のキャプテン7高橋遥希(3年)、8池葉颯大(3年)。さらに左サイドバックに近い位置に23渡辺昌伸(2年)。ワントップには13高橋力駆(3年)が入った。 5分には17中島の右ロングスローから5田中が相手GKのビッグセーブに防がれるヘディングシュートを放つなど、立ち上がりはデュエルに勝る矢板中央が押し込む展開に。ただ、國學院栃木は相手がハイラインを敷くことによって生まれる背後のスペースを耐えつつも狙っていた。そして迎えた13分、芸術点高き先制点が生まれる。 國學院栃木はオフサイドで得たFKを5貴船が縦に入れると、8池葉がダイレクトヒールで前に送り、降りてきた13高橋力駆がこれもダイレクトで落とすと左サイドへループしながらフリーラン。この一連の動きを見ていた7髙橋遥希はさらにダイレクトでその外を疾走し始めた23渡辺の前に広がるスペースに流し込みカウンターへ移行する。 その23渡辺は15メートルドリブルした後、ペナルティーエリア内へと侵入する13高橋力駆にリターンパス。追いすがる矢板中央DFを置き去りにしてペナルティーエリア内に入った13高橋力駆が折り返したラストパスに最後は自陣右サイドから50メートル以上走ってきた10斎藤がフリーで押し込んで先制。この間15秒足らず。國學院栃木は全国でも堅守で知られる矢板中央を完全に崩してみせた。 これで試合の様相は一変。その後もテンポよくパスを回しながギャップを狙う國學院栃木に対し、全くリズムをつかめない矢板中央という時間がしばらく続く。すると22分、矢板中央ベンチが早くも動く。MF17中島から8石塚遥真(3年)、FW18加藤から11朴大温(3年)と2人を交代。これによりこれまで動きが重なり気味だった5田中、7平野にサイドに開く動きと前線に入り込む動きが出るようになった矢板中央は、早くも25分には右サイド7平野のクロスからFW11朴が枠内ヘディングシュートを放ち反撃を開始。 そして前半アディショナルタイム。右サイドに進出した矢板中央MF9渡部のクロスを胸トラップで受けたのはMF5田中。3人の國學院栃木DFを前にあえて背中を見せ反転しながらシュートコースを作った彼は振り返った瞬間に左足で強烈なシュート。これが突き刺さり濃密な前半は1-1の同点で折り返した。 後半は矢板中央がFW11朴のロングスローなどを用い押し込む時間帯が続いたが、國學院栃木は再三再四のファインセーブセーブで防いだGK1高橋滉平を中心に粘り強い守備で対抗し、アディショナルタイム4分にはロングカウンターから途中出場の14川原來愛(2年)がクロスバー直撃のロングショット。互いに走力が全く衰えなかった延長戦でも両校が決定機を迎えることに。ただ、3度目のゴールネットはついに揺れることはなく、選手権出場の行方はPK戦に委ねられることになった。 両者1人目を矢板中央GK1藤間、國學院栃木GK1高橋滉平が止め合って始まったPK戦の決着がついたのは5人目のこと。國學院栃木のキックがクロスバーをかすめたのに対し、矢板中央キャプテンDF佐藤が決めた瞬間、矢板中央は2年続14回目の選手権全国出場をつかみ取った。PK戦を終えた際、栃木県グリーンスタジアム中から起こった万雷の拍手が、この試合を表すすべて。そんな栃木県民と國學院栃木の想いも背負った矢板中央は過去5度跳ね返された決勝進出の壁突破と、昭和25年度の第29回大会で宇都宮が達成して以来70年以上遠ざかっている悲願の栃木県勢2度目の選手権制覇を狙う。 (文・写真=田原豊)