米国以外の資産下落、トランプ氏の米国第一主義で最悪の懸念が現実に
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領の大統領選勝利を受け、米国株は最高値を更新し、ドルは2年ぶり高値を付けた。しかし、これは世界の他の国や地域にとっては全く良いニュースではない。
米国以外の株式は下落しており、世界株の指標、MSCI・ACWI指数は約3カ月ぶり安値となっている。MSCI新興国通貨指数は、米大統領選以降に1%余り値下がりし、年初来の上げ消失に近づいている。欧州株とユーロも下げている。
トランプ次期政権の人事が明らかになり始める中、米国とそれ以外の国・地域の資産の隔たりが一段と顕著になっている。
トランプ氏の「米国第一主義」の提案を実行する用意がある信奉者が新政権の要職に起用されており、これによって投資家の最悪の懸念が裏付けられる形となった。特に中国に対する関税引き上げ要求に加え、インフレ加速を招き、中央銀行の手を縛りかねない多くの政策が勢いを増すと懸念されている。
トランプ氏の国内重視の政策は米企業に有利に働くだろうと、GAMAアセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、ラジーヴ・デメロ氏は指摘。「われわれは米大統領選前にリスクを減らしたが、今こそポートフォリオのエクスポージャーを拡大する一方で、トランプ氏が取ると見込まれる政策の恩恵を受ける投資に切り替える時だ」と述べた。
13日のアジア市場も暗い展開となっている。アジア株の指標、MSCIアジア太平洋指数は1%余り下落。一方、前日に2022年11月以来の高値を付けたブルームバーグ・ドル・スポット指数は小幅高で推移している。
原題:Markets Everywhere Are Getting Rattled by Trump’s US Agenda(抜粋)
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John Cheng, Matthew Burgess