最高のトランプトレード成功させたアックマン氏、投資額の13倍増狙う
(ブルームバーグ): 米大統領選挙から2カ月で、最も目覚ましい成果を上げているトランプトレードはビットコインでも、テスラでもない。ウォール街の多くがだいぶ昔に忘れてしまった創業87年の地味な企業、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)だ。
店頭市場で取引されているファニーメイの株価は大統領選以降、約3.3倍にもなった。これは米ヘッジファンド運営会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者、ビル・アックマン氏の宣伝によるところが大きい。
アックマン氏はファニーメイとその競合の連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株式について、米政府が持ち株を解消する前に安く大量に買い入れる「特別に魅力的な」チャンスだと表現した。米政府は金融危機のさなか、両社に対する約1900億ドル規模(約30兆円)の救済措置の一環として、株式を取得した。
アックマン氏は12月末に、この取引の論拠をソーシャルメディアで説明。すると、1時間も経たない間に株価は45%上昇し、それ以降も上昇を続けている。
このトレーディングをアックマン氏は以前にも仕掛けたことがあったが、成功はしなかった。十年余り前に、経営再建されて当局の管理から脱却すれば企業価値は大幅に上昇すると見込み、パーシングはファニーメイとフレディマックの株式購入に数百万ドルを投じた。
しかし、両社の民営化は遅々として進んでいない。膨大な数の政府保有株の構造は複雑で、それが、実現すれば世界最大級となるであろう新規株式公開(IPO)を頓挫させるリスクがある。トランプ次期政権が両社のIPOを優先課題とする保証もない。
それでも、トランプ氏の政権移行チームが政府の役割縮小をあらためて公約したことは、同氏が1期目の政権で着手した両社の民営化をやり遂げる助けになるだろうと、アックマン氏は主張。さらに、バイデン政権の当局者も先週、両社の政府管理を解除するロードマップ(行程表)を策定し、事態の打開は近いと見る向きもいる。