老朽化が激しい埼玉県庁 どうなる建て替え場所 「現在地より移転」望む声多数 深層リポート
建設から最長70年以上たち老朽化が著しい埼玉県庁舎は新庁舎建設は既定路線になっており、現在俎上にのっているのは新庁舎の場所だ。県が実施した県民向けアンケートでは「移転がよい」が「現在地がよい」より8ポイント高くなり、移転を望む声のほうが大きくなっている。建設地は未定で、大野元裕知事は「ゼロベースで検討すべきものと考えている」と述べるとともに、令和6年度中に一定の方向性を示すとしている。 【トップ10】ふるさと納税による流出額と寄付額の市区町村別ランキング ■築年数は最長73年 さいたま市浦和区にある県庁舎はJR浦和駅西口から徒歩約10分。本庁舎(地上5階、地下1階)や県警が入る第2庁舎(地上10階、地下2階)など8棟の建物からなる。敷地面積は約6万7千平方メートルで、延べ床面積の合計は約9万6千平方メートル。 県庁舎は建て増しを重ね、築年数は一番古い本庁舎が69~73年。一番新しい危機管理防災センターが14年で、新旧の建物が混在している。 今は建て増しによる複数棟化や老朽化の弊害が顕著になっている。県の令和2年の調査では、県庁舎が8棟に分散しているのは関東地方で最多で、県職員からは「使い勝手が悪い」との声も。さらに、エアコンを使った室温は夏で最高28・8度、冬で最低15度となり、厚生労働省が定める規則(夏28度以下、冬17度以上)を満たしていなかった。 ■「知事の意向」 新庁舎建設は2年、県議会の「県庁舎建て替え等検討特別委員会」がまとめた「将来の県庁舎の在り方について早急に検討すべきだ」との提言が採択されたことがきっかけになり本格化。以降、老朽化のうえに使い勝手の悪い県庁舎の新築を前提として、今後の県庁舎に求められる機能などについて複数の会議体で検討が進められている。 この会議体での検討議題のひとつが新庁舎の建設場所。単純に建て替えとしなかったのは「知事の意向」(県担当者)だという。 大野知事は新庁舎の場所についてたびたび「地域の人から幅広く意見をうかがいながら、ゼロベースで検討すべきものと考えている」と発言している。 また、県民からは「現在の県庁舎は浦和の一等地。民間に売却して郊外にダウンサイズして移転したほうがいい」との声も寄せられている。