超特急が4万人の“8号車”と美しきレールの先に輝く夢の実現を誓う!【前編】
続いて、新体制では今ツアーが初披露となった「Beautiful Chaser」は、タカシとシューヤが仰向きに横たわったままで歌う幕開けで驚かせたのに加え、ダンサーが7人と増えたことによりパフォーマンスの迫力が大幅アップ。エレキギターが鳴り響くへヴィロックと猛烈な勢いで噴き上がるファイヤーボールを背に、何よりモニター越しにすさまじい目力で圧倒するユーキはまさしく悪鬼の様相で、先ほどまでのユー子ちゃんとのギャップで見る者を震え上がらせる。まばたきすら許さずくぎ付けにしたパフォーマンスの衝撃を、スローなハーモニーで鎮めたのは、続いてボーカル2人だけで歌われた「霖雨」。だが、エモーションの強さは絶妙な揺らぎを聞かせる歌声からも明らかで、その波動がまた一つの美しさを生み、曲終わりにダンサーが合流してからは「Thinking of You」へとつないでいく。 センターに立つタクヤはメンバーの間を行き交いながら“君”を想うひたむきな物語を描き出し、LEDに映る月夜の花畑とボーカル2人が重ね合うフェイクが繊細にコラボレート。最後は「Cead Mile Failte」で咲いた赤い花をタクヤが掲げて、超特急のパフォーマンス力を見せつけた“花”ブロックの幕を閉じる。時に激しくたたきつけるように、時にはかなく抱きしめるように。人が一生で味わう感情を、さまさまなに描き出した楽曲で、それぞれの“美”を映し出す彼らの多彩な表現力は、新体制となって以来ライブにテレビ出演、俳優活動と、すべての経験から還元されたものであるに違いない。
そんな豊かなパフォーマンスをビジュアル面からも支える衣装は、今回もカイのプロデュースによるもので、演出プロデュースを務めるユーキの伝えたいメッセージを落とし込んだものだそう。例えば、ここで着ている衣装は白地に白糸で花や植物の模様が入っており、その模様に込めた想いについて、ユーキは「タクヤが手から種を落としたということは……?」とヒントをくれた。その白衣装はボーカル2人でステージを預かり、センターステージに進み出て「今、目の前にいる大切な人や特別な存在を、より大切に思える。そんな楽曲を用意しました」(タカシ)と歌い上げた「Holtasoley」にもぴったりとマッチ。会場の真ん中から“そばにいるよ”と放たれる力強いボーカルは包容力満点で、互いに見つめ合いながら紡がれるハーモニーは至上の美しさだ。2人の頭上に集められた光の効果や星空のように瞬く照明と相まって、まるで天上にいるかのような幸せな心地を味わわせる。湧き起こる拍手にタカシが「ありがとう」と告げると一転、スレンダーな黒衣装に着替えたダンサーによるダンスブリッジがメインステージで開幕。
いきなりバク宙をかますユーキを皮切りに、鍛えあげられた筋肉を自在に駆使するマサヒロ、センスの良いアクションで妖艶な空気感を醸すカイと、イメージカラーの照明を浴びて順にソロダンスを披露する。突然センターステージに現れたリーダー・リョウガが、しなやかに身をしならせて歓声を呼べば、ハルははつらつとブレイクダンス。流れるような動きでセクシーに魅せるタクヤ、速いテンポでフロアに舞うアロハと個性を表したところにボーカルが加わってからは、扇情的なナンバーで超特急のボーカル&ダンス力を堪能させ、8号車の体温を上げる危険なブロックに突入する。(※後編に続く)
取材・文/清水 素子 撮影/米山 三郎・笹森 健一