『損失の悲しみ』は『利益の喜び』の2倍以上? 投資家が株価暴落時こそ知っておくべき心理的落とし穴
②参照点依存症
人はある特定の基準点(参照点)に基づいて判断しがちです。 例えば株式投資において、自分で購入した価格(参照点)よりも株価が上がると利益に感じ、下がると損失を感じます。人は参照点に対して感情的に反応しがちで、時に非合理的な行動をすることがあるという例になります。
③現在志向バイアス
人は将来得られる大きな利益より、今すぐに得られる小さな利益を優先してしまう傾向にあります。マシュマロテストという有名な実験をご存じでしょうか? 数人の子供達を部屋に入れて「自分が帰ってくるまでにマシュマロを食べなければ、もう一つ追加でマシュマロをあげる」と約束するものですが、3分の2の子供達がマシュマロを食べてしまいました。 これと同じことが投資の世界でも起きていて「今日もらえる5万円」と「3年後にもらえる10万円」であれば、多くの人が「今日もらえる5万円」を選ぶでしょう。 株式投資においても、今後の成長性や株価が割安か割高か等を考慮すれば、売却しないという選択肢が仮にあったとしても、目先の株価が上がっているからと売却を選択してしまうことがあります。このように現在志向バイアスが強く働くことで、人は将来的な利益より目先の利益を優先させてしまうのです。 現状志向バイアスを防ぐには、目の前の欲求から目をそらす、遠ざけることが大切です。投資についてもずっと値動きを追わずに、忘れるくらいがちょうどいいのかもしれませんね。
株価暴落時、パニックに陥らないために大切なこと
2024年8月5日、日経平均株価は年初来安値(31458円)を記録しました。同年7月11日42224円の年初来高値と比較すると、約25%の大幅下落です。このような状況下では投資家は不安を感じパニックに陥りがちです。では、行動経済学の考えを踏まえて、株価暴落時に冷静さを保つためにはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
①逆張り
逆張りとは、相場が下がっているときに買い、相場が上がっているときに売る投資手法です。株価の急落を目の当たりにすると、「これ以上損をしたくない」という損失回避バイアスが強く働きます。この結果、売りが売りを呼び、株価がさらに下落するのです。 逆張りをする投資家は、このようなパニック売りを過剰反応と捉え、リスクをとって、あえて株や投資信託を買って将来的な利益を狙うのです。しかし、これは高度な知識と経験が必要で、一般投資家には難しいといえるでしょう。