「あんなことしなければ...」僧侶が説く、意味のない後悔をやめられる1つの方法
生きているうちに墓穴を掘れ
人生において究極の後悔は、自分が死ぬ直前になって、「あれをやっておけばよかった」「あの人にこれを伝えたかった」などと思ったり、亡くなってしまった人に対して「もっとこうしてあげればよかった」などと思ったりすることです。そんなタイミングで悔いが発生してしまうと、そこから取り戻すことは難しくなってしまいます。だから、後悔は若いうちにたくさんして、手放すテクニックを磨いていくに越したことはないと思います。 失敗はいい。 反省もいい。 でも、後悔は良くない。 今からこれを、強く意識しましょう。元気に生きているうちは、償いや埋め合わせができます。「明日があるさ」が通用します。 しかし、当たり前のことですが、人はいつ死ぬかわかりません。これは自分だけでなく、相手や周りの人だって同じです。後悔しない人生を送るためには、今現在抱えている心のモヤモヤへの対処を先送りせず、そのときそのときにしっかりと向き合っていくようにしましょう。 私のお師匠さんは、よくこう言っていました。 「早く墓穴を掘れ」 墓穴を掘るとは、「自ら身を滅ぼす」という意味で使われることわざですが、お師匠さんは違う意味で使っていました。生前に自分のお墓を建てる、文字どおり墓穴を掘ると幸せな人生を送れるようになるというのです。 これは霊的な力が働くとか、そういうスピリチュアルな話ではなく、自分のお墓をつくる、つまり死を意識すると「いつか自分はここに来るんだ」という自覚が芽生え、残された人生を無駄にせず、一日一日を一生懸命生きねばならないという覚悟が決まる―そんな意味合いを含んでいます。 この言葉を最初に聞いた瞬間はきょとんとしてしまいましたが、今ではその真理がよくわかりますし、まさにそのとおりだと実感しています。生きているうちに墓穴を掘ることは、後悔のない人生を強烈にバックアップしてくれる有効な行為なのです。 だから、明日死ぬつもりで決断し、今日を全力で生きるように意識してみてください。自分の行動や言動に対して後悔するケースは、今よりも格段に減っていくと思います。
大愚元勝(住職・慈光グループ会長)