【バス運転士不足問題】万博バス運転士にメトロ社員が免許取得して出向だと?
以前に大阪・関西万博開催にともなうバス輸送力を担う運転士の募集について考察記事を書いたが、どうやらそれでも集まらないようで、とうとう大阪メトロの社員を一時的にバス運転士に養成して従事させるカードを切ったようだ。 【画像ギャラリー】【バス運転士不足問題】万博バス運転士にメトロ社員が免許取得で出向?(5枚) 文/写真:古川智規(バスマガジン編集部) (詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■政治的には民営化で決着した大阪シティバス
大阪・関西万博の会場へは鉄道を利用しても、自家用車で行ったとしても、それぞれ会場まではバス輸送に頼る。しかし万博開催の構想段階ではさほど問題になっていなかったバスの運転士不足が顕著になり、足元の路線バスの運行さえ危うくなっているのは大阪に限らず日本全国で起きている危機的な事実だ。 公営であったころの大阪市バスの運転士(だけではないが地下鉄職員を含めて)は公務員であったが、高給とやり玉にあげられ民営化され、低い方(民営のバス事業者)に待遇が寄っていく形となった。当時は市民の批判の方が強く、まさかバス運転士がいなくなるとは夢にも考えていなかったのだろう。民営化はあっという間に完了し、大阪メトロ傘下の大阪シティバスに転換された。 それで政治的には決着したはずだったが、バス運転士の採用がままならず離職するものが後を絶たないのは全国的な流れで、あわてた業界と国は大型二種免許の取得要件を講習により緩和する等の施策を実施したのだが、問題はそこではないのは誰の目にも明らかだった。
■最後のカードを切ってしまった!
報道によると、大阪メトロ(大阪シティバスから見ると親会社で地下鉄運行会社)の社員の中から大型二種免許保有者はもちろんのこと、希望者を募り大阪メトロが費用を負担して大型二種免許を取得させ、万博期間中は不足する運転士を大阪シティバスに出向させるという。 当然ながら教習所に通い大型二種免許を取得する時間は業務中とみなされ、出向期間中は会場内の巡回バスと駐車場とを結ぶシャトルバス2路線の運転士として乗務する予定だそうだ。