教員確保に苦戦、「講師」不足で 大阪府が採用試験で経験者優遇
子供たちの学びを支える教員の不足が全国で深刻化している。大阪府内でも6月1日時点で、政令市と北摂・豊能地区を除く36市町村の公立小中学校の欠員は153人に上り、前年同期の1.5倍に。欠員を補う講師(非正規教員)が足りていない状況が続いており、府教育庁は教員採用選考で講師経験者を優遇する受験枠を新設するなどして講師の確保に乗り出している。 【イラストで解説】大阪市教委の特別専科教諭の運用イメージ ■1次試験免除 大阪市内で3日に開かれた府教育庁の講師希望者登録説明会。参加者の多くは教員免許取得を見込む大学生で、リクルートスーツ姿の真剣な表情で説明に耳を傾けていた。 同庁は、現在実施中の令和7年度府公立学校教員採用選考テストから選考方法を大きく変更。講師経験が1年以上ある受験者の1次試験を免除することにした。 来年度の選考を見据えて講師登録を検討する参加者は多く、4年の男子学生(21)もその一人。今年度の選考は残念ながら不合格となったが、「大阪で教員になりたい」と来年度も受験予定で、「講師として経験が積めて、試験免除というのは大きい」と話した。 同庁はほかにも、教員免許を保有しながら、長く教育現場を離れていた人や、指導経験のないいわゆる「ペーパー教員」を掘り起こそうと、最新の教育事情を学べる「教員スタートアッププログラム」を4年度からスタート。これまでに約50人が講師として教壇に立っている。 ■年度中に増加 教員の欠員数は、年度初めより年度終わりの方が多い。出産や病気などで年度途中から休職する教員が出るためで、同庁のまとめでは4年度の小中学校の欠員は5月1日時点で53人だったが、3月1日時点では249人にまで増えた。 今年度は6月1日時点ですでに153人の欠員が出ており、昨年同期(100人)の1.5倍にあたる。担当者は「年度が始まって間もない時期でこの数字は例年にない多さだ」と危機感を募らせる。 同庁によると、教員の世代交代で若返りが進む現場では、出産する女性教員が増え、また育児・介護休業法の改正などで育休を取得する男性教員も増えているという。 ■70代講師が担任も