[MOM4956]東京VユースMF井上寛都(3年)_「ここでやらないといつやるんだ」…悔しさを力に変え、チームに勢いをもたらす先制弾!!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [12.6 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 東京Vユース 2-1 日章学園高 サンフレッチェビレッジ広島第一球技場] 【写真】「三笘クリアさんだ」「メンバーやべえ」…なでしこ5人衆&三笘妻のオフショット 上手さはあるが決して派手なプレーをするタイプでなければ、得点を量産するタイプでもない。そのため、東京ヴェルディユース(関東1/東京)のMF井上寛都(3年)はチームが採用するプレー採点システムではスコアが低くなりがちだという。ただ、藪田光教監督が「チームのために何をしなければいけないか分かっている選手」と評する通り、スタッフやチームメイトの評価は高い。そうした数値では表せない働きとともにこの日はきっちり結果も残し、勝利に貢献してみせた。 井上の見せ場が訪れたのは試合開始早々の前半3分。FW土屋光(3年)からのパスを左サイドでもらうと上手く中央に侵入し、振り抜いたシュートがゴールネットに突き刺さった。「つっちー(土屋)から良いボールが来て、最初だったので打ってやろうという感じで打った」という一撃は2週間前に味わった悔しい経験を生かしたゴールだったという。プリンスリーグ関東1部で無敗を維持してきた東京Vユースだが、第17節の浦和ユース戦は0-1で敗戦。井上自身も訪れた決定機を生かせなかったという。 「悔しい想いが練習から見えましたし、ここでやってやろうという気持ちが強かった。あの負けが凄く大きかったんじゃないかなと思う」。藪田監督が振り返れば、井上自身もこう続ける。「プレーオフに来るまでの2試合は、自分の調子が良くなかった。ここでやらないといつやるんだと思っていた。思い切ってやるだけだって。走ることもできなかったし、ボールにも関われなくて自分の良さが全く出せなかった」。 日章学園戦はそうした悔しさを自らの力に変えたゲームと言えるだろう。「トップと2列目の間ぐらいを自由に動く」(藪田監督)ことが井上に与えられた役割で、2列目から積極的に飛び出したり、ライン間でボールを引き出してからタメを作ってチャンスに顔を出し続ける。 日章学園に押し込まれる時間帯が増えた後半に入っても、貢献度の高さは変わらない。「試合前から耐える時間は絶対にあると思っていたので、そこまでパニックにならなかった」と振り返る井上は苦しいチームを助けるために、きっちり中盤でボールをキープし、時間を作るプレーを心がけていたという。 そうしたチームのために頑張る意識は今年に入ってから強まってきた部分だ。「高校で成長したのはメンタル面。技術はもちろん成長しているのですが、これまでは上手く行かないとイライラしちゃったり、ゴールを決めることができなくて沈んでいたけど、最高学年になってからは自覚が増した。自分がやらなければいけないという意識が出て、クォリティーが上がった」と井上は口にする。 小学4年生の頃から東京V一筋。プレーを続けていくうちにクラブへの愛着は強まっている。「ヴェルディは十何年間プレミアに戻れていないので、上がる機会のあるチャンスに自分が関われているのは凄く嬉しいこと。更に結果というところでもっと貢献していきたい」。そう口にする井上はプレミア復帰がかかった8日の富山U-18(北信越)戦でも勝利に貢献してくれるだろう。 (取材・文 森田将義)