「格好いいな、あの野郎ってね」金本、江藤、黒田、丸…数々の名選手を発掘した広島の生ける伝説・苑田聡彦のスカウト哲学
スカウトの喜び
惚れた選手をみな、広島に入団させられたわけではない。抽選で外したり、指名順の巡り合わせなどで獲得できなかったりした選手もいる。そんな選手にもドラフト後には電話を入れた。 「球団は違うけど、俺は高く評価していたから。(獲得された)スカウトの話をよく聞いて1日でも早く契約して、けがをせずに頑張れよってね」 広島を戦力外となった選手のため、伝手のある球団に移籍の可能性を探ったこともある。結果、現役続行がかなわなくても、選手はユニホームを脱ぐ決意を固められる。惚れた選手に指名順位もプロでの成績も関係ない。 「スカウトとしては、選手がけがをすることなく、野球をやっていることが一番の喜び。タイトルを取ったり、活躍したりしてもうれしい思いはあるけど、何より元気にやってくれたらいい」 61年前に縁あって広島に入団し、14年の現役生活を経て、スカウトとして47年。多くの選手との縁を結んできた。選手に惚れてきた名スカウトが、後輩に未来を託し、第一線から退く。
(「炎の一筆入魂」前原淳 = 文)
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