「R」が20周年ならゴルフは50周年……そのスポーティグレードはやっぱりGTI!フォルクスワーゲンゴルフGTIの走りを再検証!! ゴルフRとの違いは?
ゴルフRとゴルフGTI……その違いは?
Rシリーズが登場して20年以上の歳月が経ったわけだが、それまでフォルクスワーゲンの絶対的なアイコンは「GTI」だった。いや、今でもその人気は高く、「現実的なハイパフォーマンスモデル」の担い手として、その威厳は保たれている。 【画像】よりゴルフ"らしい"ホットハッチと言えばやはり「GTI」。 ではRとGTIの違いは、何なのか? それは端的に言えば、パワーの違いと言えるだろう。数字だけを見れば現在は、300ps以下がGTIで、300ps以上がRという区分になる。 歴史を紐解けばゴルフGTIは直列4気筒エンジンを搭載したゴルフであり、いっぽうで第3世代には2.8Lの狭角V型6気筒エンジンを搭載した「VR6」が登場した。このVR6は次世代に同じく狭角の3.2V型6気筒へと発展し、250 psの高出力に対して4MOTIONを組み合わせた「R32」へと進化。Rのイニシャルからもわかる通り、グランツーリスモ的な性格が、よりレーシングな方向性へと路線変更された。 そしてこのV6エンジンがダウンサイジングの流れからゴルフGTIと同じ「EA888」に統一され、「ゴルフR」が誕生して現在に至るという経緯だ。 つまり第3世代まではホットハッチとして君臨したゴルフGTIも、第4世代からはその座をRシリーズに受け渡したことになる。
RはR、GTIはGTI……それぞれ独自の道で進化
しかしこれによってゴルフGTIは、より大きな自由を得たと思う。なぜなら性能を先鋭化させる必要がなくなった代わりに、素晴らしいドライバビリティを両立できるようになったからだ。 事実連綿と磨き上げられたトータルパフォーマンスの高さは、第7世代目にしてひとつの頂点に達した。内外装は当然のことながら、乗り心地とハンドリングを高い次元でバランスさせ、ゴルフGTIはCセグメントの絶対王者になった。 そんなゴルフ GTIは2019年に第8世代へと進化したわけだが、しかし筆者はこれが日本上陸を果たしたとき、正直「その良さが失われてしまった」と感じた。前述した最大のセリングポイントである、ドライバビリティが悪化したからだ。 その理由は、極めてシンプル。この時期フォルクスワーゲンは、極端に低燃費性能を追い求めていた。時代は電動化に向かっており、フォルクスワーゲン自身もディーゼルゲートでの失敗を払拭するべく、CO2排出量の削減にはかなりセンシティブだったはずである。 よってエンジンこそゴルフGTIは2.0L直列4気筒「EA888」を踏襲したが、標準モデルは「eTSI」として、初めて48Vのマイルドハイブリッド車となった。 そしてその足下に履かされたタイヤが、ゴルフとゴルフGTIから、あのしっとりとした乗り心地を奪った。ヒステリシスロスを防ぐべくソフトに採ったコンパウンドに対してケース剛性で変形を防ぎ、転がり抵抗を減らす。一見スポーティに若返ったとも言い訳できたその乗り味は、低負荷領域での突き上げ感を増やしてしまった。 足周りそのものは基本しなやかな動きをしているが、アダプティブ・シャシーコントロール「DCC」にカスタムモードを導入して細かく減衰力調整を可能にしたのは、電動化の進化を見せつけると同時に、こうしたハーシュネスに対応したかったからではないか。
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