《アパホテル地面師事件》”100億”の資金を動かし暴力団との関係も噂された「大物地上げ屋」が”真相”を語る
私は被害者だ
当の本人はこう話した。 「アパの件で私は被害者なのです。なのに、まるで地面師たちとグルになってアパを騙したようにいわれる。甚だ心外です」 白根はアパの要請に従い、今度の取引にかかわっただけであり、地上げの手伝いをしたにすぎないと言い張った。白根が東向島の一件でもひと役買っていたのはすでに書いたとおりだ。今度もまたなりすましを仕立てたことには気づかなかったのか。そう尋ねた。 「私はアパと話をしてきました。アパから頼まれていたからです。その取引の途中から、宮田や亀野が割り込んできて、ああなった。だから彼らがなりすましを使ってこんなことをしているなんて、まったく知りませんでした」 白根はそう答えた。次のように話した。 「私自身はアパとのあいだで民事訴訟になり、和解が成立しています。少しずつですが、返済することになっていますので」 この民事裁判により、事件は迷宮入りするのではないか、と予想された。事件を取材し始めた頃、アパが取材を拒否したのも、ひょっとしたら白根たちから被害を弁償してもらえると思っていたからかもしれない。 だが、捜査は再び動き出した。なにより売買の契約上は、白根の経営していたクレオスとアパとの売買という形になっている。そして白根は亀野や宮田たちとともに再び警視庁に逮捕される羽目になる。警視庁が白根に目を付けてきたのは無理もなかった。 『10名の逮捕者が出るも、なぜか「手配師」は釈放...赤坂・溜池のアパホテル地面師事件の意外な展開』へ続く
森 功(ジャーナリスト)
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